子宮体がんの初期症状とは? 出血量などの特徴と受診の目安を解説

2025/05/23
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子宮体がんは、さまざまな年代の女性に発症する可能性のある病気です。初期症状として現れることの多い不正出血は、病気の早期発見につながるサインですが、多くの女性は出血量の異常や子宮体がんの特徴を知らずに過ごしています。そのため、まずは子宮体がんの知識や症状を知ることが大切です。

この記事では子宮体がんの初期症状として現れやすい不正出血と出血量、不正出血のときに受ける検査の内容を詳しく解説します。自分の症状と子宮体がんの症状を比べて病気の可能性を判断し、早めの医療機関受診を考えるきっかけになるでしょう。そして、心の準備ができるとともに安心して検査を受けやすくなります。出血量の変化を見逃さず、病気の早期発見、早期治療を目指しましょう。
目次

子宮体がんとは? 子宮頸がんとは違うの?

子宮体がんとは? 子宮頸がんとは違うの?

子宮体がんは、子宮内膜と呼ばれる子宮の内部に発生するがんです。主に50代から60代の閉経後の女性に発症します。子宮体がんは発見が難しく、発見が遅くなると予後が悪くなるため、いかに早期に発見し、適切な治療を受けられるかが鍵となります。

一方、子宮頸がんは子宮の入口部分の子宮頸部に発生するがんです。発症のピークは30代から40代と、比較的若い年齢層の方に多い特徴があります。このため、がん検診やHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種による予防が大切です。

子宮体がんと子宮頸がんは発生する場所や発症年齢が異なるため、症状や治療方法も異なります。いずれの場合も早期発見により治療の選択肢の幅が広がるため、不正出血などの症状が見られた際は、早めの受診をおすすめします。

子宮体がんの初期症状の特徴とは

子宮体がんの初期症状には、以下の症状があります。

  • 不正出血
  • 月経不順
  • おりものの変化(量の増加や色の変化)

不正出血は、ほとんどの子宮体がん患者が経験する症状で、生理周期以外での出血や閉経後に起きる出血を指します。

上記の症状が現れた場合は、病気の早期発見のためにも、速やかに医療機関を受診しましょう。

子宮体がんの初期症状で最も多いのは不正出血

子宮体がんの初期症状で最も多いのは不正出血です。

特に、閉経後に再び起きる出血や、通常の月経周期以外での出血は子宮体がんの初期症状である可能性があり、注意が必要です。

これらの症状があったとしても、早期発見により治療が可能です。不正出血に気付いたら、放置せず早めに医療機関を受診しましょう。

出血量は多い? 少ない? 子宮体がんに特徴的な出血とは

子宮体がんは出血量の多さや少なさだけでは判断が難しい病気ですが、以下のような特徴があるので参考にしてください。

出血量の変化 特徴
血液の色 ⚫︎ 鮮血から暗赤色までさまざま
⚫︎ 鮮血は新しい出血、暗赤色は古い出血のサイン
質感 ⚫︎ 血液に粘り気が出る場合もある
出血のタイミング ⚫︎ 月経周期以外や閉経後に起こる場合もある

上記のような特徴的な出血が見られた場合は、子宮体がんの可能性があるため、医療機関への受診をおすすめします。症状があっても早期発見できれば、適切な治療を受けやすくなります。

注意したい出血以外の初期症状

子宮体がんの初期症状は、不正出血だけではありません。以下の症状にも注意しましょう。

その他の症状 特徴
おりものの変化 ⚫︎ おりものの色や量の変化
下腹部の違和感 ⚫︎ 月経時以外の下腹部の痛みや違和感
排尿障害 ⚫︎ 排尿時の痛みや頻尿

これらの症状も、早めに気づけば治療につながりやすくなります。不正出血以外の症状にも注意し、体調に異変を感じたら速やかに医療機関を受診しましょう。

子宮体がんと他の病気の出血の違い

子宮体がんの初期症状の出血は、他の病気との区別が難しい場合があります。以下に、子宮体がんと間違えやすい子宮筋腫やポリープ、更年期障害の症状と出血の特徴を解説します。

病気名 出血の特徴 その他の症状
子宮体がん ⚫︎ 少量、あるいは多量の不正出血 ⚫︎ 下腹部の痛み
⚫︎ 排尿・排便の障害
子宮筋腫 ⚫︎ 月経時の出血の増加
⚫︎ 出血量増加による貧血
⚫︎ 腹部の膨満
⚫︎ 頻尿
ポリープ ⚫︎ 不正出血
⚫︎ 性交時などの接触出血
⚫︎ おりものの増加
更年期障害 ⚫︎ 不正出血 ⚫︎ 発汗
⚫︎ ホットフラッシュ
⚫︎ 気分の変動

上記の特徴、症状は一般的なものであるため、自己判断は避けましょう。症状が気になる場合には自己判断せず、早めに医療機関を受診することが最も大切です。医師による正確な診断と適切な対処が早期治療につながります。

子宮体がんの疑いがある場合の受診タイミングと検査方法

子宮体がんの疑いがある場合は、早めの受診が最も大切です。特に、不正出血が見られた場合や、閉経後に再び出血があった場合は、すぐに受診しましょう。早期受診により、早期診断につながり、治療の選択肢も広がります。

受診のタイミングは、閉経後に出血があった場合や不正出血が一週間以上続く場合です。さらに、月経とは異なる出血や、出血量が増加した場合も早めに受診するべきです。

検査は少し痛みを伴うこともありますが、短時間で終わることがほとんどです。少しの勇気を出して受診し、早期発見につなげることが大切です。

不正出血を感じたらすぐに受診すべきケース

以下のような不正出血がある場合には、迅速な受診をおすすめします。

  • 閉経後の出血がある場合
  • 月経期間以外の不正出血がある場合
  • 出血量が増える、または出血が少量でも長引く場合
  • 不正出血とともに腹痛や異常なおりものがある場合

これらのケースでは早急に専門医の診察を受けましょう。早めに相談すれば、早期にさまざまな治療を選びやすくなり、不安軽減にもつながります。特に、閉経後の出血や長引く不正出血は放置せず、できるだけ早めの受診が大切です。

婦人科で行われる検査の流れと内容

初めて婦人科を受診する場合、検査内容を不安に感じる方もいるのではないでしょうか。この項目では、婦人科で行われる主な検査の流れと内容を紹介します。

順番 検査名 検査の内容 検査の特徴
1 ⚫︎ 内診
⚫︎ 直腸診
⚫︎ 外見や触診で異常の有無を調べる ⚫︎ 内診は多少の不快感がある
⚫︎ 検査時間は10分程度
2 ⚫︎ 超音波(エコー)検査 ⚫︎ 腹部から子宮や卵巣の状態を確認する ⚫︎ 非侵襲で痛みがない検査
⚫︎ 必要時には経腟での超音波検査が行われる
3 ⚫︎ 細胞診
⚫︎ 組織診
⚫︎ 細胞を採取して異常の有無を調べる ⚫︎ いずれもがん細胞の有無が分かる
⚫︎ 細胞採取時に少し違和感がある
4 ⚫︎ 採血 ⚫︎ 貧血の有無やホルモン量、腫瘍マーカーなどを調べる ⚫︎ 医師の判断で必要時に行われる

婦人科で行われる検査の流れと内容

これらの検査はいずれも患者の負担を最大限に減らすよう配慮されており、無理なく受けられるものが増えています。

また、画像診断としてCT検査やMRI検査がありますが、これらの検査も診断の助けとなり、がんと診断された後にがんの状態を詳しく知って治療に活かすのにも役立ちます。

婦人科で行われる子宮体がん検査の費用

子宮頸がん検診には自治体の助成がありますが、子宮体がん検診には助成がありません。不正出血などの気になる症状があり受診すると、保険適応での検査となります。検査の費用は病院によるものの、先述した検査を全て行うと1万円前後になります。実施する採血内容によっては費用が加算される場合もあるため、受診する病院にあらかじめ聞いておくと良いでしょう。

子宮体がんは早期発見で治療の幅が広がる! 予防と定期検診の重要性

子宮体がんは早期発見により治療の選択肢が広がり、治癒の可能性も高まります。だからこそ、定期的な検診が非常に重要です。特に、40代以降や閉経後の女性は、定期的な婦人科検診を積極的に受けましょう。

スマートドックでは、医療機関で受けられる骨盤内がんドック(子宮・卵巣MRI検査)を提供しております。子宮がんや卵巣がんに加えて、子宮筋腫や子宮内膜症などの異常もまとめてチェックができます。より精密な検査を希望する方におすすめです。

また、定期検診に加えて、日常生活の中でのセルフチェックも予防に役立ちます。そして、不正出血などの異常を感じた場合は、早めに専門医への相談が大切です。自分の身体のサインに気付き、病気の早期発見を心がけましょう。

子宮体がんは、知識を持って早めに行動に移すことで、予防につながります。自分自身の健康を守るためにも、定期的な検診とセルフチェックを行いましょう。

まとめ:不正出血を見逃さず、早めの受診を

今回の記事では、子宮体がんの初期症状としての出血量の特徴や、受診の目安について解説しました。

不正出血は子宮体がんの初期症状として最も一般的な症状です。出血量が多い場合や少ない場合など個人差がありますが、いずれの場合も不正出血であれば注意が必要です。その他の初期症状や、他の病気との違いも知っておきましょう。

そして、異常な出血に気付き、早めに医療機関を受診することが、早期発見と効果的な治療への第一歩です。気になる症状がある場合は、放置せず早めに受診してください。早めの対応があなたの健康を守る鍵になるでしょう。

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編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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監修医 内田 里香子 (うちだ・りかこ)
日本産婦人科学会所属
北海道大学、大阪大学大学院卒業。市民病院、市中病院で産婦人科医師として経験を積む。
現在は医療法人霜星会りかこレディースクリニックの院長として産婦人科診療に携る。