2025/05/23 ( 公開日 : 2025/05/23 )

医師監修 | おりものが黄色いのは病気? 原因や受診の目安を解説

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医師監修 | おりものが黄色いのは病気? 原因や受診の目安を解説
おりものの色や状態の変化に気づいたとき、不安を感じる女性は少なくありません。特に黄色いおりものが見られる場合、何か病気が隠れているのではないかと心配になることもあるでしょう。このような不安を解消し、適切な対処方法を知るためには、正しい情報を得ることが大切です。

この記事では、黄色いおりものの原因やおりものと病気との関係、病院を受診するタイミングなどを詳しく解説します。自分の状態を知って、適切な対応を取るための参考にしてください。
目次

おりものの色の変化に気づいたら

おりものの色の変化は、身体が発する何らかのサインかもしれません。おりものの色や状態が普段と異なる場合、身体に何らかの影響がある可能性があります。しかし、黄色いおりものすべてが病気によるものという訳ではありません。

おりものの色が変わる原因には、ストレスや食生活の変化、ホルモンバランスの乱れなどさまざまなものがあります。もちろん、性感染症や膣の炎症のような病気が原因のこともありますが、黄色いおりものは一時的なものも多いため、過度に心配する必要はありません。

まずは、他の症状の有無を観察し、デリケートゾーンを清潔に保ちましょう。その上で、気になる症状が続く場合や違和感を伴う場合には、放置せず医師の診察を受けることをおすすめします。黄色いおりものの具体的な原因や対応策を知って、正しく対処しましょう。

おりものの色と健康状態の関係

おりものの色は、健康状態を知る1つの目安です。おりものの色によって、いくつかの原因を探ることができます。

おりものの色が示す健康状態のサイン

おりものの色は健康状態のサインになります。特に問題がない健康な状態では、透明から乳白色、薄いクリーム色が一般的です。

しかし、これら以外の色が見られる場合は、何らかの異常がある可能性があります。例えば、黄色いおりものが出た場合、性感染症や細菌感染症の可能性があるため、体調に変化を感じたら早めに婦人科で相談しましょう。

また、異臭を伴う場合やかゆみ、痛みがある場合はさらに注意が必要です。正常なおりものの色と異常な色の違いを知ると、早期に適切な対応ができます。

黄色いおりものは必ずしも病気ではない

前述したように、黄色いおりもの全てが病気のサインとは限りません。ホルモンバランスの乱れや食事、ストレス、内服薬の影響など、生活習慣がおりものの色に影響を与えることがあります。

まずは、体調に大きな変化がないか、かゆみや痛みなどの症状がないかを確認してください。そして、生活習慣を見直し、状態に改善がなければ婦人科を受診し、専門医の診察を受けましょう。

黄色いおりものの主な原因とその特徴

黄色いおりものの主な原因とその特徴

黄色いおりものが出る原因には、細菌性腟症や膣カンジダ症、クラミジア感染症、淋菌感染症、トリコモナス膣炎、子宮頸管炎、ストレスおよび疲労、妊娠中のホルモン変化などがあります。それぞれの原因を以下で詳しく説明します。

細菌性腟症

細菌性腟症は腟内のデーデルライン桿菌の減少で起き、いくつかあるおりものの異常の中でも、検査によって原因菌が見つからない状態です。症状として臭いを伴う黄色いおりものやかゆみ、灼熱感、異常な分泌物が発生することもあります。

細菌性腟症の主な原因は、抗生物質の使用過多やデリケートゾーンの洗いすぎ、性行為、避妊具の不使用などです。特にデリケートゾーンの洗いすぎは常在菌を減少させ、抵抗力低下の原因になるため、注意しましょう。

細菌性膣症を予防するためにデリケートゾーンの過剰な洗浄を避け、清潔な環境を保ちましょう。また、通気性を良くするため、きつめの下着を着用せず、湿潤環境を避けます。もし上記のような症状が現れた場合はすぐに婦人科で相談し、適切な治療を受けることが大切です。

膣カンジダ症

膣カンジダ症は、カンジダという真菌が原因で起きる感染症です。酒粕やヨーグルトに似たこってりとした、乳白色あるいは黄色のおりものが特徴です。また、かゆみや発赤、灼熱感を伴うことがあります。

カンジダ腟炎は通常、免疫力の低下や抗生物質の使用、ホルモンバランスの乱れなどが原因で発生します。糖尿病患者や妊婦、ストレスを多く抱える人にも発生しやすいといわれています。

予防法は、デリケートゾーンの乾燥を保つことです。そのためには、きつめの下着の使用を控え、おりものシートやナプキンはこまめに交換することが好ましいです。また、バランスの取れた食事やストレス管理も膣カンジダ症の予防に効果的です。このような症状が現れた場合は、自己判断せずに婦人科を受診し、適切な治療を受けましょう。

クラミジア感染症

クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマティスという細菌が原因で引き起こされる、日本で最も多い性感染症です。黄色いおりものが見られる場合もありますが、無症状の場合も珍しくありません。

放置すると子宮頸管炎や骨盤炎症性疾患(PID)を引き起こし、不妊症の原因になることがあるため、注意が必要です。

性感染症予防のためには、コンドームを使用することや、複数の性的パートナーとの関係を避けることが有効です。無症状でも感染している可能性があるため、感染が疑われる場合は、早めに婦人科を受診し、適切な治療を受けましょう。

淋菌感染症(淋病)

淋菌感染症(淋病)は、淋菌によって引き起こされる性感染症の1つです。ほとんどの場合、黄色い膿性のおりものや排尿痛、性交痛、下腹部の痛みなどの症状が出現しますが、無症状のこともあります。放置すると、骨盤炎症性疾患や不妊症などの合併症を引き起こすリスクがあるため、注意が必要です。

淋病の予防には、性行為時のコンドームの使用が効果的です。予防策をとりながらも症状が疑われる場合は、合併症予防のためにもすぐに婦人科を受診し、適切な検査と治療を受けることが大切です。

トリコモナス膣炎

トリコモナス膣炎は、トリコモナス原虫が原因で引き起こされる性感染症です。泡状の黄緑色のおりものが主な症状で、かゆみや灼熱感、性交痛などが伴うこともあります。

トリコモナス膣炎は、主に性行為で感染します。感染を防ぐためには、コンドームの使用が推奨されています。

また、放置すると他の合併症を引き起こすことがあるため、症状が現れた場合は、早めに婦人科に相談して適切な治療を受けることが大切です。

子宮頸管炎

子宮頸管炎は、子宮頸部に炎症が生じた状態です。黄色いおりもののほか、腹痛や性交痛、不正出血などの症状が現れることがあります。

子宮頸管炎の原因は、クラミジアや淋菌などの性感染症です。また、性行為や出産、手術などによる物理的な刺激や外傷が原因になる場合もあります。

炎症が進行すると、骨盤炎症性疾患や不妊症などのリスクが高まるため、早期治療が大切です。子宮頸管炎が疑われる場合は早めに婦人科を受診して適切な検査を受け、必要に応じて抗生物質などの治療を受けましょう。

ストレスや疲れによる影響

ストレスや疲れを感じ続けるとホルモンバランスが乱れて免疫力が低下します。その場合、細菌に感染しやすい状態になるため、黄色いおりものやかゆみ、臭いを伴うおりものが見られることがあります。このような状態が続く場合には、まずはストレス解消や生活習慣の見直しに取り組むほか、リラックスすること、適度な運動を心掛けることが大切です。

症状が改善しない場合や悪化する場合は、婦人科を受診し、適切な治療を受けましょう。ストレスや疲れ以外の原因が見つかる場合もあります。

妊娠中の変化

妊娠中はホルモンバランスが大きく変化するため、黄色いおりものが出ることがあります。特に妊娠初期や臨月は、おりものの変化が現れやすくなります。これらの時期の黄色いおりものは、膣内のバクテリアのバランスが保たれていれば、問題ないと考えられます。異常な臭いやかゆみがなければ過度に心配する必要はありませんが、気になる場合は医師に相談することをおすすめします。

ただし、おりものに臭いやかゆみを伴う場合は感染症の可能性があるため、早めの婦人科受診が大切です。医師の診断、適切な検査や治療を受けることで、安全な妊娠期間を過ごすことができるでしょう。

黄色いおりものが見られる場合の婦人科受診の目安

黄色いおりものが見られる場合の婦人科受診の目安

黄色いおりものは、身体からの重要なサインになる場合があります。特に、かゆみや痛み、異常な臭い、発熱などの症状を伴う場合は、婦人科を早期に受診しましょう。いずれの場合も自己判断せず、専門医の意見を求めることが適切な治療につながります。

受診が必要な症状

おりものの色や状態の変化は、身体の健康状態を示す重要なサインです。黄色いおりものに加えて、かゆみや痛み、異常な臭い、発熱などの症状がある場合は、性感染症や炎症などの可能性があるため、放置せずに早めに対処することが大切です。

例えば、淋菌感染症やクラミジア感染症などの性感染症は、早めに適切な治療を受けなければ、将来的な不妊症の原因になることもあります。子宮頸管炎や膣カンジダ症なども、早期治療が求められる病気です。これらの病気は、早期治療によって重篤な合併症を防ぐことができます。

婦人科の受診は、健康状態を正しく知り、適切な治療を受けるための第一歩です。心配な症状がある場合は自己判断せず、医師に相談しましょう。

早期受診の必要性

婦人科を受診することに不安や抵抗感を持つ方も多いかもしれませんが、早期受診はとても大切です。病気や感染症の早期発見は早期治療につながり、治癒の確率を高め、重篤な合併症予防にもつながります。

例えば、トリコモナス膣炎や淋菌感染症は、早期の治療を開始すると症状の悪化を防げます。さらに、定期的な婦人科検診は、自身の身体の変化や健康状態の把握のための一助になります。健康管理の一環として、定期受診を習慣化してはいかがでしょうか。受診への不安がある方は、口コミなどを参考に信頼できる医師やクリニックを見つけ、相談しやすい環境を整えることが大切です。

医師の診察を受ける際のポイント

婦人科を受診する際には、おりものの色や量、臭い、その他の症状(かゆみや痛みなど)の記録を残しておくことで、不安を軽減させ、スムーズな診察が受けられます。おりものの異常が続いている期間や性生活の有無、生活習慣の変化なども記録しておくと、よりスムーズです。

また、医師に聞きたいことも書き出しておきましょう。事前に質問をリストアップしておくと、大切なことをしっかりと相談できるでしょう。

診察時はリラックスし、恥ずかしがらず詳しく症状を伝えることが大切です。より詳しく症状を伝えることで、適切な診断や治療につながります。準備をしっかり行い、自身の健康に対するアクションを起こして未来の健康を守りましょう。

まとめ:黄色いおりものへの適切な対応

黄色いおりものは病気が原因である可能性もありますが、ストレスや疲れ、妊娠中の変化などが原因の場合もあります。しかし、おりものから悪臭がする、かゆみや痛みを伴う、出血があるなどの症状が見られる場合は、早めの婦人科受診が大切です。

婦人科を受診する目安は、普段と異なるおりものが続く場合や、気になる症状がある場合などです。また、不安がある場合にも専門医に相談して、適切な診断と治療を受けましょう。

自分の身体の状態を観察し、必要に応じて医師の診察を受けることが、健康を維持するための最善の方法です。自分の身体の状態を把握して、疑問や不安があれば早めに対応し、健康を保ちましょう。

記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。
監修医 内田 里香子 (うちだ・りかこ)
日本産婦人科学会所属
北海道大学、大阪大学大学院卒業。市民病院、市中病院で産婦人科医師として経験を積む。
現在は医療法人霜星会りかこレディースクリニックの院長として産婦人科診療に携る。

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