2021/12/09 ( 更新日 : 2021/12/16 )

肺がんの骨転移とは? 腰痛、麻痺、骨折なども症状として現れるのが特徴

症状
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肺がんは無症状の中で進行することも多いため、治療が難しい病気のひとつです。その上、転移しやすく、骨や脳、リンパ節などが発生する頻度が高い部位となっています。この記事では、肺がんの骨転移にテーマを絞り解説します。骨転移の概要から、引き起こされる症状や治療法まで解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次

肺がんの骨転移とは?

肺がんの骨転移とは、がん細胞が肺から運ばれて骨に転移した状態のことです。
肺がんを起こした患者のうち30~40%に骨転移が起こるとされています。
骨転移が起こったがん患者の5年生存率は、およそ7%程度と低い数字を示しており、根治が難しい病気だということが分かります。

肺がんの骨転移が起こりやすい部位

骨転移の起こりやすい部位は、肋骨、胸椎、腰椎などになります。
まれに肘から下や膝から下など、体の末端にがん細胞が転移することもあります。
骨にがん細胞が転移すると、骨を溶かしたり、正常ではない骨を作ったり、もしくはその両方を起こすこともあります。
それと同時に、がん自身が棲みつく場所を確保しながら栄養を得て増殖していきます。

骨転移の主な症状

上記で解説した骨の異常が起こることによって、さまざまな症状が現れてきます。
骨は体の骨格を作っているものであるため、異常をきたせば生活にも大きな影響を与えます。
ここからは、骨転移による主な症状を解説していきます。

腰痛

腰椎(ようつい:腰の骨)に骨転移が起こることで、腰痛が起こります。
骨自体には痛みを感じる神経は通っておらず、骨を包む膜に神経が通っています。
がん細胞が骨の外に進展し、骨を包む膜を圧迫することで痛みを感じるのです。

神経障害

骨転移による神経障害は、主に脊椎(頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙骨)のいずれかに転移することで発生します。
脊椎の中には神経が通る脊髄という場所があり、がん細胞が増殖することで神経を圧迫または損傷させ、上肢や下肢の麻痺が起こります。

骨折

がん細胞によって骨が破壊され、脆くなることで、体重や筋収縮に耐えきれなくなり、骨折に至ります。これを「病的骨折」と言います。
がん細胞は骨の中から破壊していくため、患者が気づかないうちに骨が弱くなり、脊椎や大腿骨を骨折していることもあります。

高カルシウム血症

高カルシウム血症は、がん細胞によって骨が溶けることで、骨に含まれていたカルシウムが血中に溶け出して血中カルシウムが上昇することです。
高カルシウム血症は、高確率で腎機能障害を引き起こします。それにより脱水、口渇、多尿が起こります。
他にも筋力低下や悪心、嘔吐なども引き起こします。

骨転移の診断方法

骨転移の有無やがん細胞の広がり具合を診断することは、今後の治療方法を決定するためにかなり重要なことです。
がん細胞の診断にはひとつの検査で可能ということはなく、複数の検査を行うことでより正確な診断が可能になります。

PET

PETは、陽電子を放出する放射性同位元素で標識された薬剤を投与し、その分布を撮影することで臓器の機能を診断します。
がんの診断にはグルコースの誘導体を使用します。
癌細胞は正常細胞に比べてグルコース代謝が亢進しているため、高集積として検出されます。

MRI検査

MRI(Magnetic Resonance Imaging)検査は、電磁波を使って検査する方法です。
装置内で体に電磁波を当てることで、体内の水素の状態や動きを把握して、画像化します。
がんが広がっている箇所と正常な組織との信号の差を画像上で区別しやすい特徴があります。
X線を使わないため、被ばくの心配がないこともメリットです。

骨シンチグラフィー

骨シンチグラフィーはがんの病巣に集まる性質を持つ薬剤を血管内に投与後に撮影をする検査です。
がん細胞は、増殖するためにたくさんのブドウ糖を必要とします。
そのため、ブドウ糖に放射線物質である「フッ素」をくっつけて、放射線を検出し画像化します。
炎症や骨折箇所も黒く写し出されるため、より詳細に把握することができます。

骨転移の治療方法

骨転移は他の臓器への転移と異なり、直接命の危機につながるわけではありません。骨転移を早期発見した場合、外科的手術でも治療が可能になりますが、発見が遅くなると骨の深くに浸潤したり、周囲の組織に転移していることも多いです。
これらの場合は完治を目指すのではなく、症状の緩和を目的とした治療を行っていきます。

薬物治療

薬物療法は、部分的でなく全身への効果があり、ステージ4の転移した肺がんに対して有効な治療方法です。
基本的にがん細胞が増殖するのを阻害する作用の薬剤を投与します。
また、骨を溶かして破壊する細胞に特化して有効な「ビスホスホネート製剤」というものもあり、同時にがん細胞の増殖も阻害できるため、よく使われています。

放射線治療

放射線治療は外照射と内照射の2種類に分けられています。
がんの治療では主に外部照射を使用します。
以下では、外照射での治療とそのうちの「定位照射」と呼ばれる治療方法を解説していきます。

外照射

脊髄を圧迫している病変などは外照射の対象になります。脊髄が圧迫されると、神経障害を起こし、下肢の麻痺を起こすため早急に治療が必要です。
治療方法は、病変に対して体の外から放射線を照射します。1回の照射時間は数分程度で一定時間をおきながら5~10回程度行うことが一般的となっています。上手くいけば、痛みの消失やがんの進行を抑えることができます。

定位照射

定位照射は病巣に対して多方面から放射線を標的に集中して照射する治療方法です。
他の外照射と比較して、定位照射は線量が高い放射線を少ない回数で照射します。
病変に対して高線量を照射するため、80~90%の確率でがんの進行を抑えられる傾向にあります。また、通常の放射線と比較して他の細胞の被ばく量が少ないため、副作用が少ないこともメリットです。

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監修医 伊藤 晴紀(いとう・はるき)

メディカルチェックスタジオ新宿クリニック・医学博士
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