2022/12/08 ( 公開日 : 2021/11/19 )

肺がんに初期症状はあるの? 肺がんの種類、予防、治療方法などについても解説!

症状
がん 呼吸器
この記事は約5分で読めます
日本の死因ランキングの中で1位は「悪性腫瘍(がん)」です。その中でも「肺がん」が最も多いとされています。肺がんは初期の段階で気づきにくい上、危険性の高い病気になっています。この記事では、そんな肺がんの非小細胞がん/小細胞がんのちがいや、予防方法・治療方法について解説いたします。
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目次

肺がんってどんな病気?

肺がんは気管支や肺胞などの組織から発生するがんのことです。

そもそも「がん」とは、細胞が変異して生まれた「がん細胞」が異常増殖をして、ほかの細胞を傷つけてしまうものを言います。
増殖したがん細胞は肺胞を包むように張り巡らされている血管やリンパに乗り、ほかの体の組織に運ばれてしまいます(※「転移」と呼びます)。
転移したがんの発見が遅れてしまい、死に至ることもあります。

肺がんのおもな原因

肺がんのおもな原因は「たばこ」です。

がん細胞ができるメカニズムとしては、以下の3つが考えられています。

① 遺伝子が傷つき、傷ついた細胞がどんどん増えていく

② 細胞は情報をコピーしながら分裂、コピーミスが起こり段階的に異常な細胞ができる

③ 傷ついたりコピーミスの起こった細胞の修復力が減る

たばこに含まれている物質は、以上のような現象を起こしてしまいます。
継続して喫煙することで、より細胞の変異を加速させ、がんを作り出すのです。他にもPM2.5やアスベストなどの有害物質が原因となる場合があることも、合わせて知っておきましょう。

肺がんの種類

おもに小細胞がんと非小細胞がんに大別されます。
非小細胞がんが肺がんのほとんどを占めています。

非小細胞がん

非小細胞肺がんはさらに発生する組織で「腺がん」「扁平上皮がん」「大細胞がん」に分けられています。

非小細胞肺がんは、初期段階であれば手術療法が有効とされていますが、患者の体の状態や年齢、がんの性質などによって医師が治療方針の検討を行います。

小細胞がん

小細胞がんは進行が早く、転移しやすいため悪性度が高いです。
抗がん剤などの化学療法が効果を発揮するため、初めから化学療法が選択されることが多いです。

特に肺で留まっていて手術が適応でない場合は「化学放射療法」、全身に転移が広がっている場合は「化学療法」を選択することが多いです。
化学放射療法というのは、化学療法と放射線療法を同時または続けて行うことを言います。

肺がんの初期症状

肺がんと特定できるおもな初期症状はありません。
咳や血の混ざった痰、発熱、息苦しさなどがありますが、がん以外の呼吸器の病気にもみられる症状です。

気管支や動脈が出入りをする「肺門」で発生したがんは症状が出現しやすく、末梢で発生したがんは無症状で経過することが多くなっています。
症状をきっかけに発見されるがんは一般に進行していることが多いです。

肺がんの診断方法

肺がん検査には、胸部レントゲン検査や胸部CT検査などの画像検査と、喀痰細胞診、気管支鏡を用いた細胞検査などの病理検査・病理診断があります。

画像検査

胸部レントゲン検査

一方向から胸部全体にX線を照射して画像化し、がんの可能性がある影がないかを調べるもの。
X線とはいわゆる放射線のことで、組織によって透過するものと反射する性質がある。その性質を利用して、がんを見つけ出す。

胸部CT検査

胸部CT検査もX線を使用。胸部レントゲン検査との違いは、囲うようにX線を放射して、3次元的に体の内部を知ることができる。
胸部レントゲン検査では難しいがんを発見することも可能。

PET検査

がん細胞の発見に適した検査方法。がん細胞は、増殖するためにエネルギーとなる「グルコース」を多量に取り込んでいる。
その性質を利用し、検査に必要なフッ素にグルコースを付けた「FDG」というものを注射し、がん細胞の分布を調べる。

病理検査・病理診断

喀痰細胞診

痰を出すことによってがん細胞の有無と悪性度を調べる検査。
この検査には、3日間分の痰をひとつの容器にためて検査する「蓄痰法」と、1日ごとに痰を別容器に取って検査する「連続法」がある。
クラスⅠ~Ⅴに分けて評価を行う。

気管支鏡検査

内視鏡を鼻や口から挿入して、気管支のがんが疑われる部位を調べる検査。
胸部レントゲン検査で病変が見つかり、詳しく知りたい場合に行う。太い気管支内のみ観察が可能。

肺がんの治療方法

肺がんの治療では「手術療法」「放射線療法」「薬物療法」「緩和療法」を使い分けて行っていきます。
検査の結果で分かった進行や転移の度合いなどを参考に、治療方針が決定されます。

手術療法

転移のない初期の肺がんで、手術によってがんを取りきることができる場合に行われます。
がんのある肺葉(はいよう)や周囲のリンパ節を切除する「肺葉切除術」、できるだけ肺を温存する「部分切除」、がんのある片方の肺をすべて切除する「片側肺全摘手術」などがあります。

がんの性質や進行度で手術方法は変わりますが、再発を防ぐためにも大きめに取り除くことが多いです。

放射線療法

がん細胞に放射線を照射して、がんを消滅させたり小さくしたりする治療方法です。
がんによる身体症状の緩和や延命を目的に行われます。
正常な細胞にも放射が及ぶこともあるため、治療後に皮膚や粘膜などが炎症を起こし、食道の痛み、咳や発熱、息切れなどが起こる可能性があります。

薬物療法

薬剤を内服や点滴によって体内に取り入れることで、がんの増殖を抑制する治療です。
転移している場合でも、薬物が体内をめぐる全身療法なので効果的になります。
最近では、「分子標的治療薬」というがん細胞が増殖するために必要な「因子」だけを狙い撃ちできる薬も登場しました。
身体への負担が少ないと期待されていましたが、副作用はあることが分かっています。

肺がんの予防方法

効果的な予防方法は、禁煙と定期的な肺がん検診です。

禁煙する

肺がん予防として1番に「禁煙すること」が大切になります。喫煙者は非喫煙者と比べて男性で4.4倍、女性では2.8倍肺がんになりやすいと言われています。
禁煙することで、肺は元の状態には戻りませんが、継続するよりリスクが抑えられます。
非喫煙者でも肺がんになるパターンとして、受動喫煙があるため、タバコの煙は避けたいところです。

定期的に肺の検診を受ける

禁煙に加えて、早期発見が重要です。無症状でがんが進行しており、手術ができず根治できないケースが多くなっています。早期発見のために、年に1回は肺がん検診を受けることをおすすめします。

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監修医 伊藤 晴紀 (いとう・はるき)
元メディカルチェックスタジオ医師・医学博士

同じ病気でも、患者様ひとりひとり治療方針は違ってきます。それぞれの生活やバックグラウンドに合った医療を提供できるよう心がけております。
患者様が健康で長生きできるよう、診断・治療だけでなく、最新の医療知識を織り交ぜながら診察しております。

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