2021/09/17 ( 更新日 : 2021/10/12 )

新型コロナウイルス変異株はなぜ生まれるの? VOC、VOIについても解説!

症状
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新型コロナウイルスの変異株はなぜ生まれるのでしょうか? 変異株が生まれる背景とともに、VOC、VOI、E484Kなど、最近メディアでよく聞くようになった表現についても、この記事ではご紹介いたします。
目次

重症化リスクが高い方」や「高齢者」などを含む
多くの方が抗体検査を受けています。

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はじめに|ミスコピーが変異株をつくる?

世界で猛威を奮っている新型コロナウイルスですが、現在でも多くの変異株が現れてきています。
ウイルスに感染した際には、体内では同種のウイルスが増殖していきます。

変異の大部分は、ウイルスや細胞に影響しません。
しかし今回のように、世界中のあらゆるヒトの中でコピーが頻繁に繰り返されると、その中からヒトにとってより脅威となるものが出現します。

懸念される変異株と注目すべき変異株

新型コロナウイルスの変異株について考える上では、「懸念される変異株(VOC:Variants of Concer)」と「注目すべき変異株(VOI:Variants of Interest)」という区分について理解しましょう。

VOC、VOIともに定義は複雑なものですが、噛み砕くと以下のような内容です。

懸念される変異株(VOC)
・・・ 従来株からの変化が大きく、感染拡大や重篤化が懸念されるもの

注目すべき変異株(VOI)
・・・ 感染症、重篤度、ワクチン効果などに影響を与える可能性があるとされるもの

「注目すべき変異株(VOI)」の研究が進むと、「懸念される変異株(VOC)」にいわば格上げされるといったイメージです。

出典:国立感染症研究所 WHO

(※ちなみに変異した株の名称に「α(アルファ)」「β(ベータ)」などのギリシャ文字を用いているのは、最初に検出されてきた国に対する差別心や敵意などを持たないようにとの意図があるようです。)

「E484K」「N501Y」ってなにを示してるの?

「E484K」や「N501Y」などの表記を目にしたことがある方も多いかもしれません。
この記号は、いったいなにを示すものなのでしょう?

E484Kは

「ウイルスのタンパク質の484番目のアミノ酸が、
 E(グルタミン酸)から、K(リシン)に変わった」

ことを意味しています。

N501Yは

「ウイルスのタンパク質の501番目のアミノ酸が、
N(アスパラギン)から、Y(チロシン)に変わった」

という意味です。
こちらは、参考程度に覚えておいてもいいかもしれません。

ここまでをまとめると、「懸念される変異株(VOC)」は、「注目すべき変異株(VOI)」よりも、変化の度合いが大きいことが確定している変異株、だということがわかるでしょう。

遺伝情報の変化の仕組み

冒頭でもお伝えしましたが、新型コロナウイルスに感染すると体内でウイルスが増殖。
何度もコピーを繰り返すうちに、遺伝子情報をもつRNA(リボ核酸)という物質の配列に小さなミスが起きます。
こうして変異株が誕生するのです。

特に危険な変異かどうか見定める上で注目されるのは、下記の3点。

  • 感染の広がりやすさ(伝播性)
  • 病気の重さ(病毒性)
  • ワクチン効果の減弱化(免疫逃避)

社会に大きな影響が起こる変異株か判定する上で、重要な指標となります。

新たなVOI「ミュー株」

2021年9月時点では、直近でミュー(μ)株が新たに「注目すべき変異株(VOI)」に追加されました。
ミュー株は南米やヨーロッパを中心にして、計31カ国以上で報告されています。

ミュー株には「ワクチン耐性をもつ恐れの変異がある」という説明もWHO(世界保健機関)から行われており、引きつづき詳細な研究結果が待たれます。

まとめ|VOIがVOCに変わると注意

新型コロナウイルスが現れたのは2020年の1月ですが、現在までの間に多くの変異を繰り返し、ワクチンを打ったヒトの中でも変異し続けています。
現在、日本で主流となっているデルタ(δ)株よりも、高い感染力・高い致死率・ワクチン減弱化が起こった変異株の登場も充分に考えられます。

ミュー株がデルタ株以上に社会に大きなインパクトを与える変異株になるかはわかりません。
ただひとつの指標としては、「注目すべき変異株(VOI)が、懸念される変異株(VOC)に変わった」というニュースが出てきた場合には、新型コロナウイルスはより脅威を増すものに変化したと言えるでしょう。

ワクチン接種2回目から、
2週間以上経過した後での抗体検査を推奨いたします。

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監修医 知久 正明 (ちく・まさあき)

メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニック院長・医学博士
病気になる前に治すという『未病』を理念に掲げていきます。循環器内科分野では心臓病だけでなく血管病まで診られる最新の医療機器を備えたバスキュラーラボで、『病気より患者さんを診る』を基本として診療しています。

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