2022/04/20 ( 公開日 : 2021/10/01 )
新型コロナウイルスが脳卒中リスクに? 脳ドックで知っておきたい脳の健康状態
新型コロナウイルスが脳卒中を引き起こす?
スウェーデンにおける、新型コロナウイルス感染者のおよそ8万人を対象とした研究で、同ウイルスが脳卒中と心筋梗塞の危険因子である、という旨の報告がなされています。
この論文の中では、特に虚血性の脳卒中、血栓などによって脳の血管が閉じられてしまうリスクが、新型コロナウイルスによって高まることが示唆されています。
心臓へ血液の供給が足りなくなって起こる心筋梗塞も、やはりこの血栓が原因で起こります。
つまり新型コロナウイルスが血液凝固を促進させ、その影響によって脳や心臓に大きな影響がもたらされることが明らかになってきたともいえるのです。
なぜ新型コロナウイルスで血液凝固が起きるの?
新型コロナウイルスはACE2受容体(※ACE/ACE2受容体は肺、心臓、腎臓などで血圧と血流を調整する上で重要な役割を担う)から感染します。
そのため肺や血管に障害をもたらし、肺炎や血栓症を引き起こすと考えられています。
とくに、肥満や高血圧症の方には、ACE2受容体の発現が多いため注意が必要となります。
動脈を流れる血液はなぜ固まらないの? 血管内皮障害とは
そもそも、なぜ血液はが体内で固まらないかご存知ですか?
血液が体の外に出ると、すぐに固まることは普段から見ていますよね。
実は血液が体の中で固まらないのは、血管内皮細胞があるからです。
血管内皮細胞は、血管の内側にタイルを敷き詰めるみたいに存在しており、そこで強力な抗血栓作用を発揮しています。
◇血管内皮細胞の主要な機能や役割
・血液を滞りなく流す
・血中から組織へ必要なものを取り込むフィルター
・血管壁に余計ないものが付かないようにする など
ウイルスが血管内皮に与える影響
新型コロナウイルスは、体内で血液を滞りなく流すために必要な、この血管内皮細胞を障害することが明らかになっています。
新型コロナウイルスは血管内皮細胞に感染して炎症を起こし、機能を発揮できないようにすることで、血液が固まりやすくなってしまうのです。
「太り気味の方はコロナによって重症化しやすい」という情報を見たことがある方も多いと思います。
これは動脈硬化の初期段階で、やはり血管内皮細胞が傷つくからです。
太っていて、高血圧や高脂血症などの基礎疾患を持ち、もともと血管内皮細胞を傷つけていた方が、感染によってさらに加速度的に血管内皮細胞を障害していると考えるとわかりやすいかもしれません。
血液中に血栓が形成されてしまうと、脳や心臓などで動脈を塞ぐことにより、体にとって致命的な打撃が与えられます。
かくれ脳梗塞と血管内皮障害の関係について
血管内皮細胞の障害と関係が深い動脈硬化。
この動脈硬化が進行しているパラメータになるのが、脳ドックでMRI検査をしたときに見つかる「かくれ脳梗塞」です。
かくれ脳梗塞は、自分では自覚症状がない脳梗塞のこと。
脳の中でもとくに細い血管が詰まってしまい、影響範囲が体に現れないレベルの脳疾患のことです。
このかくれ脳梗塞は、動脈硬化の進行が影響して発見される症状として、よく知られています。
動脈硬化はどのように進行する?
STEP1 血管内皮障害
・高血圧の影響で血管内皮が剥がれる
・悪玉コレステロールが血管壁の内側に付着
STEP2 血管内皮下のプラーク蓄積
・本来異物を除去する、「単球」が血管壁や内皮の中に潜っているLDLコレステロールを処理しようとしてくっつき、マクロファージという細胞に変化、LDLコレステロールを取り込んでしまい、最終的に「プラーク」という物質に変化する
STEP3 血管が詰まる
・何十年もかけて変化が進行し、血管壁が固くなって動脈が狭まり「かくれ脳梗塞」などで発見される
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