2025/05/20 ( 公開日 : 2025/05/15 )

子宮頸がん検診の頻度はどれくらい?年齢別・状況別に徹底解説

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子宮頸がん検診の頻度はどれくらい?年齢別・状況別に徹底解説
子宮頸がんは比較的若い世代でも罹患するリスクがあり、自覚症状のないまま進行することもあるがんです。早期発見のためには定期的な検診が重要です。安心して検診を受けるためにも、具体的な内容を知っておきましょう。

この記事では、年齢やライフステージに応じた適切な子宮頸がん検診の頻度や、検診のメリット、費用、安心して受診するためのポイントをわかりやすく解説します。
ぜひ、検診の計画を立ててみてください。
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目次

子宮頸がん検診を受け始めるタイミングは?


子宮頸がん検診を受け始めるタイミングは?

子宮頸がんの主な原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染です。多くは性交渉によって感染します。
現在、日本の指針では20歳以上で2~5年に1回の子宮頸がん検診の受診が推奨されています。しかし、性交渉の経験があれば、10代であってもHPVに感染するリスクがあります。そのため、年齢にかかわらず、必要に応じて医師と相談し検診を検討することが大切です。

子宮頸がん検診の頻度はどれくらい? 【基本と年齢別の目安】

基本の受診頻度とその根拠

子宮頸がん検診は、2025年時点では2種類の方法で行われており、それぞれ推奨される頻度が異なります。

細胞診

20歳以上は2年に1回の頻度

HPV検査

30歳以上は5年に1回の頻度
(罹患リスクが高い場合は1年後に再受診)


が推奨されています(HPV検査は、実施要件を満たす場合に限られます)。
これは厚生労働省の指針に基づいたもので、日本産科婦人科学会などの専門機関も同様の方針を示しています。

なぜ細胞診は2年に1回とされているのでしょうか。それは、子宮頸がんは比較的進行が遅めのがんであり、定期的な検査を受けていれば異常が早期に見つかるケースが多いためです。特に異形成と呼ばれる、前がん状態から実際のがんに進行するまでには、数年かかることが知られています。

また、2024年4月からは要件を満たす一部の自治体では、HPV検査単独法と呼ばれる方法でも検診を行えるようになりました。対象となるのは30~60歳で、検診の間隔は5年に1回が推奨されています。ただし、以前に異常が見つかったことのある方や、医師から個別に指導を受けている場合は、より短い間隔での検診が必要になることもあります。気になる症状や不安がある場合は、自己判断せずに婦人科で相談しましょう。

年齢別の推奨頻度と注意点

以下は、一般的に推奨されている年齢別の子宮頸がん検診受診頻度の目安です。
(※お住まいの自治体の検診方針をご確認ください)

年齢層 推奨される検診頻度 解説

20代

細胞診:2年に1回

リスクは比較的低めだが、早期発見のため、定期的な受診が推奨される

30代〜50代

細胞診:2年に1回
HPV検査:5年に1回(実施要件を満たす場合)

発症率が上がる時期。育児や仕事で忙しい世代こそ要注意

60代以降

細胞診:2年に1回
HPV検査:5年に1回(実施要件を満たす場合)

がんのリスクが高まる年代。閉経後も検診は必要

妊娠中

状況に応じて医師が判断 医師と相談して適切な時期に受診を。もし受診するのであれば、妊娠のごく初期がよいとされている

性交渉経験のある10代

医師と相談のうえ判断 HPV感染リスクがあるため、状況に応じて検診を検討


定期的に検診を受けていれば、子宮頸がんを早期発見できる可能性が高まります。「症状がないから大丈夫」と思いがちですが、子宮頸がんには自覚症状が出にくいという特徴があります。症状に関わらず、推奨される頻度で検診を受診する習慣をつけることが重要です。

また、HPVワクチンを接種している方も検診は必要です。ワクチンはすべての型のHPV(ヒトパピローマウイルス)に対して効果があるわけではなく、完全な予防策ではないためです。ワクチン接種と定期的な検診の両方で対策することが基本となります。

なぜ子宮頸がん検診が必要なのか


子宮頸がん検診の重要性

初期は自覚症状がない

子宮頸がんは、初期段階では自覚症状がほとんどありません。不正出血や性交時の痛み、異常なおりものなどの症状は、病気が進行してから現れることが多く、初期段階では日常生活で異常を感じにくいのが特徴です。

このように、体調の変化に気づきにくいため、自覚症状だけを頼りにしていると発見が遅れてしまう可能性があります。特に、発症リスクが高くなる30~50代は、仕事や家庭に忙しい方が多いでしょう。多少の体調の変化を見過ごしてしまいやすく、気づかないまま病気が進行してしまうリスクがあります。

だからこそ、がん検診によって自覚症状がない段階で異常を見つけることが重要です。検診では、目立った症状がなくても前がん状態(異形成)や初期のがんを発見できる可能性があります。検診の受診は、子宮頸がんから身を守るために非常に有効な手段です。

早期発見で治療の負担を軽減できる

検診でがんが早期に発見されれば、身体への負担が少ない治療法を選べる可能性が高まります。特に前がん状態の段階で発見されれば、比較的簡単な処置で済むことも多いでしょう。

また、早期の治療は通院期間や費用の面でも負担が軽くなり、仕事や家庭への影響も最小限に抑えられます。定期的ながん検診は、自分自身の健康はもちろん、大切な家族の生活の質を守るためにも大きな役割を果たしているのです。

放置すれば進行し、命に関わることも

子宮頸がんを放置すると、がん細胞が子宮頸部を超えて広がり、周囲の臓器やリンパ節に転移するリスクが高くなります。そうなると手術だけでは治療が難しくなり、放射線治療や化学療法(抗がん剤での治療)を併用する必要が出てくるでしょう。

がんが進行すれば治療は複雑になる傾向にあり、身体に負担がかかるため、回復までの期間も長引きます。命に関わる事態になることもあるため、定期的な検診による早期発見、早期治療が非常に重要です。

子宮頸がん検診の流れと内容を解説


ここで、初めての方でも子宮頸がん検診を安心して受けられるように、検査の流れと内容を説明しましょう。

最初は問診から始まります。医師があなたの健康状態や妊娠出産歴、月経の経験や過去の病歴などを詳しく質問します。これは、必要に応じて適切な検査を行うための重要なステップです。

続いて視診が行われ、医師が内診台で膣や子宮頸部の外観を目視で確認します。この過程で、具体的な異常がないかをチェックします。

その後に細胞診です。細胞診では、医師が特殊な器具を使って子宮頸部から細胞を採取し、細胞を顕微鏡で調べ、異常な細胞がないかを確認します。

細胞診の検体を採取する具体的な手順は、以下の通りです。

まず、内診台に上がり、リラックスした状態で仰向けになります。それから膣鏡という器具を使って膣を開き、子宮頸部の細胞を採取します。検査全体でも数分で終了しますし、細胞採取の際もほとんど痛みを感じないことが多いでしょう。ただし、多少の不快感や軽い圧迫感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。痛みの感じ方には個人差がありますので、心配なことがあれば医療スタッフに相談してください。

子宮頸がん検診の流れと内容を解説

検査内容(細胞診など)

子宮頸がん検診では、細胞診またはHPV(ヒトパピローマウイルス)検査が行われます。細胞診は稀な細胞の変化やがんの早期兆候を発見するための検査です。膣鏡を使って膣を開き、柔らかいブラシやスパチュラで子宮頸部から細胞の一部を採取します。不安や痛みがある場合は、がまんせずにスタッフに伝えましょう。細胞診の結果は、数日から数週間でわかります。詳細な日にちが知りたい場合は、受診する医療機関に確認しましょう。細胞診で異常な細胞が発見された場合は、さらに詳しい検査が必要になることがあります。
HPV検査は、子宮頸がんの主な原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)の存在を確認する検査です。細胞診と同じように採取した細胞が使えます。陽性であっても、必ずがんになるわけではありません。リスクを評価した上で、精密検査や経過観察が行われます。精密検査が必要になった場合、コルポスコピー(拡大鏡検査)や組織診が行われることがあります。これにより、病変の詳細や範囲を確認し、適切な治療方針が決定されます。

どちらも子宮頸がんの早期発見に非常に重要な役割を果たす検査です。定期的に検診を受診することで異常を早期発見し、迅速な対応をとれるようになります。検査内容や流れを理解すれば検診に対する不安は軽減され、安心して検査を受けられるでしょう。

所要時間や痛み、不快感について

子宮頸がん検診にかかる所要時間は、通常それほど長くありません。問診や視診、細胞診などの各ステップをすべて含めても、短時間で終了することが多いでしょう。検査中は、膣鏡を挿入する際に軽い不快感や圧迫感を感じることがあります。また、膣鏡を使って膣を開く際に、冷たさや違和感を覚えることがありますが、激しい痛みを伴うことはほとんどありません。細胞採取の瞬間も、わずかな刺激を感じる程度です。ただし、検査後に少量の出血が見られることもありますので、その点は注意が必要です。

できるだけリラックスして検査に臨むと不安を軽減できるでしょう。緊張すると筋肉が硬直し、余計に不快感を感じやすくなります。呼吸をするなどしてリラックスを心がけましょう。不安や心配事がある場合、検査前に医師や看護師に伝えましょう。安心して検査を受けられるよう丁寧に対応してくれます。

費用はいくら? 補助制度を活用しよう


子宮頸がん検診の費用は、受診方法や地域によって異なります。

自治体の住民検診や職場の健康診断では、無料から数千円程度で受けられることが多いでしょう。多くの自治体では、20代や30代の女性を対象にした無料クーポンや費用助成制度が用意されており、受診のハードルを下げる取り組みが行われています。
例えば、東京都では20歳以上で偶数年齢の女性に対し、定期的に無料クーポンが配布されます。お住まいの自治体や医療機関の情報を検診前に確認し、利用できる制度を積極的に活用しましょう。

一方、人間ドックなど任意で受診する場合は、全額自己負担のため5,000〜15,000円ほどかかることもあります。事前に確認しておくといいでしょう。
通常、がん検診は保険適用外ですが、検査で異常が見つかって精密検査を受ける際は保険が適用される場合があります。

スマートドックでは、子宮や卵巣の状態をより詳しくチェックしたい方に向けて、MRIによる画像診断サービスもご用意しています。MRIは放射線を使用しないため、身体への負担が少なく、子宮や卵巣のがんリスクを安全にチェックできます。

詳しい検査内容や費用については、以下のページをご覧ください。

まとめ:子宮頸がん検診は定期的に受けましょう


子宮頸がん検診は、女性の健康を守り、健康な生活を維持するために非常に重要です。早期発見できれば治療の成功率も高まります。大切な検診です。自覚症状がないからといって安心せず、年齢やライフステージに応じて、適切な頻度で検診を受けるようにしましょう。自治体の支援や無料キャンペーンなど、費用面での負担を軽減できる制度もぜひ積極的に活用してください。
もし検診に対する不安や心配がある場合は、かかりつけの医師に相談しましょう。検診を定期的に受診することで、子宮頸がんを早期発見、早期予防できる可能性が高まります。ぜひ子宮頸がんの検診を定期的に受け、将来の健康を守りましょう。

記事についてお気づきの点がございましたら、
編集部までご連絡いただけますと幸いです。

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