知っておきたい脳ドックの補助金・助成金制度 思っていたよりずっと安く受診できるってほんと?
2025/05/19 ( 公開日 : 2025/05/15 )
人間ドック、何歳から始めるべき? 「年齢×生活習慣」でわかる最適なタイミング

人間ドックの受診は任意であり、義務付けられている検査ではありません。しかし、利用することで重大な病気の早期発見、早期治療につながるケースもあります。
本記事では年齢ごとの「人間ドック受診の目安」「おすすめの検査項目」などを解説します。人間ドックの疑問が解決できる内容になっているので、ぜひ最後までご覧ください。
人間ドックとは? 健康診断との違い
人間ドックとは、健康状態の把握や病気の早期発見、早期治療を目的に行われる検査です。「健康状態をチェックして、病気を予防する」という意味では健康診断と大きな違いはありません。
健康診断は、法律で義務付けられている「法定健診」と、任意で受ける「任意健診」に分類されています。人間ドックは任意健診の1つで、検査項目や費用負担が一般的な健康診断とは異なります。違いは以下のとおりです。
健康診断 | 人間ドック | |
利用の有無 | 義務(法定健診) | 任意(任意健診) |
検査項目 | 11種類(※医師の判断で省略可) | 約50種類(※医療機関により設定可能) |
費用 | 原則は無料(もしくは安価) | 3万〜10万円 |
健康診断の費用は基本的には無料となっています。これは、労働安全衛生法で事業者に実施が義務付けられており、企業側の全額負担が定められているためです。
一方で、人間ドックは任意であり、費用は自己負担となります。医療機関や検査項目により異なりますが、一般的に3万〜10万円になることが多いようです。
人間ドックは何歳から受けるべき? 年齢別の受診目安
人間ドックは20歳以上であれば誰でも受けられます。
ライフステージによって病気のリスクや健康状態が変わるため、年代ごとに適したタイミングで受診することが大切です。ここからは各年代に応じた人間ドックの受け方について見ていきましょう。
30代:生活習慣病への備え
30代は仕事や家庭が忙しくなり、健康管理がおろそかになりやすい年代です。生活習慣の乱れから高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まります。
生活習慣病は脳梗塞や脳出血、心疾患など重大な病気のきっかけになる可能性があります。そのため、30代から健康診断や人間ドックの結果に基づき、生活習慣を見直すことが大切です。
40代:重大疾患の早期発見
40代になると、生活習慣病に加えて、重大な病気のリスクも高まります。遺伝的な要因や加齢によっても心疾患やがんのリスクは増すため、定期的な健康診断や人間ドックがより大切になってきます。
とくにがん検診は重要です。厚生労働省によると、日本人の死亡原因はがんがもっとも多いといわれています。また、家族にがんの既往歴がある場合、40代から罹患率が高まるがんもあります。
がんは早期発見、早期治療により予後が大きく変わることもあるため、検査は積極的に取り入れましょう。
50代:健康リスクの高まる年代
50代に入ると、生活習慣病やがんのリスクがさらに高まります。そのため、生活習慣の見直しや、重大な病気を防ぐための検査が重要になってきます。
前述したがん検診も欠かせません。男性は前立腺がん、女性は乳がんや子宮がんの検査を定期的に受けることがすすめられます。
50代で受けた検査結果は、これからの生活習慣を見直したり、治療の方向を考えたりするうえで役立ちます。リスクを理解して健康な毎日を過ごせるように意識しましょう。
生活習慣が受診タイミングに与える影響
人間ドックを受けるタイミングは、日々の生活習慣によって大きく左右されます。
喫煙や飲酒、食生活の乱れなど、健康リスクを高める要因がある場合は、より早い受診が重要になります。
ここからは、それぞれの生活習慣が健康に与える影響や、人間ドックのタイミングについて見ていきましょう。
喫煙や飲酒習慣が与える影響
喫煙は肺がんや慢性的な肺の病気になるリスクを高めるといわれています。
受動喫煙による周りへの影響も無視できません。喫煙習慣がある方は、肺機能検査や心電図検査を含めた人間ドックを早めに受診することをおすすめします。
いきすぎた飲酒も肝硬変や肝がん、高血圧、脳卒中のリスクを高めます。飲酒する機会が多い方は、肝機能検査や血液検査を重視した人間ドックを検討するとよいでしょう。
食生活と運動習慣が与える影響
食生活の乱れや運動不足も、生活習慣病のリスクを高める要因となります。
脂肪が多い食事や甘いもののとりすぎは、肥満や内臓脂肪の増加につながります。結果として、糖尿病や高血圧、脂質異常症を引き起こすリスクが高まるのです。
栄養バランスの悪い食生活は、免疫力の低下や体調不良をまねくこともあります。運動不足が続くと、筋力や心肺機能が低下して、動脈硬化や骨粗しょう症といった病気のリスクも高くなるため注意が必要です。
このような方は、年齢に関係なく早めに人間ドックを受けることをおすすめします。検査結果をもとに生活習慣を見直すことで、将来の健康リスクを大きく減らせるでしょう。
年代別おすすめの検査項目
人間ドックでは、年代によって必要とされる検査項目が異なります。
各年代に応じた検査を受けることで、健康リスクを管理しやすくなるでしょう。ここからは30代〜50代におすすめの検査項目を紹介します。
30代におすすめの検査項目
30代は仕事や家庭が忙しくなり、生活習慣が乱れやすくなる年代です。がんの種類によっては、この年代から罹患率が高くなるものもあるため注意が必要です。
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血液検査
基本的な血液検査は必ず受けておきましょう。血液検査ではヘマトクリット、赤血球、白血球、血小板などを測定して、身体の基本的な健康状態をチェックします。
お酒をよく飲むなら「r-GTP」もみておきましょう。r-GTPは、肝臓や胆道系の病気の診断や、アルコール性肝障害の評価に用いられる検査です。血液中の濃度が高い場合は、肝臓や胆道に異常がある可能性があります。 -
腹部超音波検査
腹部エコー(腹部超音波検査)もおすすめです。肝臓、腎臓、膵臓などの内臓を確認でき、脂肪肝や胆石などの早期発見につながります。 -
乳がん・子宮頸がん検診
女性の場合は、乳がんや子宮頸がんの検査も重要です。どちらのがんも20〜30代から発症リスクが高まります。マンモグラフィーや子宮頸がんの細胞診検査を定期的に受けることで、早期発見と早期治療が可能になります。
自覚症状がないうちに見つけることが大切なため、年齢や体調に応じた適切なタイミングで検査を受けることを心がけましょう。
40代におすすめの検査項目
40代に入るとがんや心臓の病気になるリスクが高まるため、より詳しい検査が必要になります。
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CT検査
CT検査は、肺や腹部を画像で詳しく確認できる検査です。がんをはじめ、身体の異常を早期に発見できます。喫煙歴がある方は、肺がんリスクを把握するためにも積極的に検査を受けましょう。 -
胃カメラ
胃カメラもこの年代で受けておくべき検査です。胃がんや胃潰瘍を早期に見つけるため、胃部に違和感がある方は受診をおすすめします。 -
ホルター心電図
ホルター心電図(24時間心電図)は、日常生活のなかで心電図を記録して、不整脈や狭心症の兆候をチェックする検査です。医療機関内の検査では、わかりにくい心臓の異常を調べられます。
これらの精密検査を活用することで、40代のうちから健康リスクを正しく把握し、適切な対策を講じることができるでしょう。
50代におすすめの検査項目
50代に入ると、がんや脳の病気になるリスクがさらに高まります。これまで紹介した検査に加えて、全身をしっかりチェックするスクリーニング検査が重要になります。
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MRI検査
MRI検査は、強力な磁場と電波をつかって、身体の内部を画像化する検査です。脳や内臓、血管を詳しく確認できるため、病気の早期発見につながります。CT検査では正常な組織との区別がつきにくい臓器に生じるがんの診断にも有効です。 -
頸動脈エコー・心エコー
頸動脈エコーや心エコーによる動脈硬化のチェックも重要です。心筋梗塞や脳梗塞のリスクを早い段階で把握することで、適切な予防策を立てられるでしょう。 -
腫瘍マーカー
腫瘍マーカーとは、がん細胞により体内でつくられる物質です。「CEA」「CA19-9」「PSA」などさまざまな種類があり、血液検査や尿検査で把握できます。
50代以上はがんや血管系など重大な病気のリスクも高くなるため注意が必要です。早期発見して治療することで、今後の生活が変わることもあります。
30代、40代で紹介した検査とあわせて、全身を調べることで健康リスクをしっかり管理しましょう。
人間ドックを受けるべきタイミングとは?
人間ドックは、20歳以上であれば誰でも受けられます。「早すぎる」ことはないため、健康が気になったときに利用を検討しましょう。
人間ドックを受けるタイミングが遅れると、生活習慣病や重大な病気を早期発見する機会を失うリスクがあります。
家族に既往歴がある方や、生活習慣に不安がある方は、年齢に関わらず早めの受診を検討することが大切です。がんは治療をはじめる時期によって予後が変わることもあります。
定期的な人間ドックは、病気の早期発見だけでなく生活習慣を見直すきっかけにもなります。例えば、生活習慣病のリスクが高いとわかれば、早めに対策を講じることで病状の進行を防げるでしょう。
人間ドックの費用と会社の福利厚生
人間ドックの費用は、受診する医療機関や選ぶ検査内容によって大きく異なります。
会社の福利厚生や保険制度をうまく活用すれば、自己負担を抑えることも可能です。ここからは人間ドックの費用も見ていきましょう。
人間ドックの費用
人間ドックは任意の検査であり、保険適用外となるため費用は全額自己負担になります。
一般的な費用の目安は3万〜10万円ほどですが、がん検診や脳ドックなどのオプションを追加すると、さらに高額になることもあります。
費用に見合った内容の人間ドックを選ぶには、自分の健康リスクに合った検査項目を選ぶことが大切です。例えば、家族にがんの既往歴がある場合は、がん検査の追加を検討するとよいでしょう。
大きなリスクがなければ、基本的なコースだけでも十分なこともあります。複数の医療機関を比較して、費用と検査内容のバランスが取れた納得のいく施設を選びましょう。
保険や福利厚生の利用方法
人間ドックの費用負担を軽くするには、保険や会社の福利厚生を上手に使うことが大切です。
国民健康保険による助成金の利用
国民健康保険に加入していて料金の滞納がない場合、地域によっては助成を受けられます。例えば、東京都の一部の地域は以下のとおりです。
地域 | 助成内容 | 対象者 |
荒川区 |
脳ドックのみ受診料50%(上限20,000円) | 40歳以上 |
渋⾕区 |
8,000円 | 40〜74歳 |
品川区 |
8,000円 | 40歳以上 |
台東区 |
20,000円 | 満35歳以上 |
清瀬市 |
受診料の50% (上限20,000〜30,000円) |
満30歳以上 |
助成金額や対象者、受けられる検査項目などは、自治体や地域によって異なります。申請に必要な書類や手続きの流れも自治体ごとに違うため、事前に窓口やホームページで確認しておきましょう。
健康保険組合の補助制度の利用
社会保険に加入している場合、健康保険協会や健康保険組合を通じて、人間ドックの費用の一部を補助してもらえることがあります。
補助の対象は本人(被保険者)だけでなく、扶養家族(配偶者や被扶養者)が含まれる場合もあります。
この制度を利用して、家族そろって受診を検討してみるのもおすすめです。詳しい対象条件や補助内容は、加入している健康保険組合のホームページや窓口で確認しましょう。
会社の福利厚生の利用
会社に勤めている方は、基本的には年1回健康診断が受けられます。これは、事業者は労働安全衛生法によって、事業者に年に1回健康診断が義務付けられているためです。
さらに、会社によっては福利厚生で人間ドックの費用を一部負担してくれるケースがあります。福利厚生で人間ドックを受けるときは、「金額が一般常識範囲であること」や「費用は企業が医療機関へ支払うこと」などが決められています。
細かな取り決めは企業によって異なるため、利用前に詳しい条件を確認しておきましょう。
クレジットカードの特典やポイントの利用
クレジットカードの特典やポイントを活用して、人間ドックの割引を受けられる場合もあります。
割引額はカード会社によって異なり、利用できる医療機関も限られていることがあります。事前に提携先や条件をしっかり確認しておきましょう。
まとめ:健康管理のために適切なタイミングで人間ドックを受けよう
健康を守るためには、自分の年齢や生活習慣に合ったタイミングで人間ドックを受けることが大切です。病気を早く見つけて対応することが、治療の成功率を高めて健康寿命を延ばすポイントになります。
生活習慣病やがんなどは早期発見と対策によって重症化を防げます。
まずは自分の健康状態を振り返り、適切な時期に人間ドックを受けて将来のリスクに備えましょう。
編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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