2025/04/21 ( 公開日 : 2025/04/18 )

はじめての人間ドック完全ガイド|費用・検査内容・受診の流れを丁寧に解説

検査
人間ドック 検診
この記事は約11分で読めます
「人間ドックを受けたいけれど、何から始めていいのか分からない」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。人間ドック受診にかかる費用や検査内容、受診の流れなど、初めての人にとって不安要素はたくさんあります。 本記事では、人間ドックの基本から具体的な受診方法まで詳しくご紹介します。人間ドックの全体像をつかみ、安心して受診の準備ができるようにしましょう。
目次

人間ドックとは


人間ドックとは、病気の早期発見と日本の健康維持を目的とした日本独自の健診システムです。通常の健康診断で行う検査に加えて、オプションでさまざまな検査も受けられます。1954年7月12日に初めて日本で制度化されたことから、毎年7月12日は「人間ドックの日」と制定されています。

人間ドックの目的と役割

人間ドックの主要な目的は、主にがんの早期発見、生活習慣病の発見、健康状態の確認です。

がんや心臓病、糖尿病などの生活習慣病は、早期発見・早期治療が成功率を高める鍵となります。人間ドックは、こうした病気の兆候を自覚症状がない段階で発見し、適切に対策する1つの方法です。通常の健診ではカバーしきれない範囲の検査が行えるため、生活習慣や家族の病歴に基づいてリスク評価が可能です。個人に合わせた検査を受けることで、健康な生活を維持するための具体的なアドバイスが受けられます。

また、がんの早期発見にも重点が置かれています。がんは早期発見が難しいことも多いため、定期的な人間ドックによって早期発見・早期治療を目指します。

このように、人間ドックは自分自身の健康状態を客観的に把握して、将来の健康リスクを減らすための重要な手段となります。

健康診断との違い

「人間ドックが大切なのは分かったけど、会社の健診と何が違うの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
よく似ているようですが、健康診断と人間ドックにはいくつか大きな違いがあります。

目的

健康診断は、労働安全衛生法によって定められたものと、高齢者医療確保法や医療保険各法によって定められたものの2種類あります。
定期健診は「労働安全衛生法」に基づいて企業が従業員の健康管理を行うもので、企業は年に1回労働者に受診させる義務があります。受診年齢の制限はありません。
特定健診は「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づいた生活習慣病予防が目的の健診です。40歳~74歳の人が対象となるものです。また、企業に勤めていない39歳以下の人も、医療保険各法で定められた健診を受診できます。定期健診と同じく年に1回の受診が推奨されていますが、義務ではありません。

一方、人間ドックは個人の健康状態を詳細に把握し、病気の早期発見や予防を目的としています。任意で受診するものであり、法律で定められていません。

人間ドックと健康診断の比較

検査内容

定期健診や特定健診では基本的な項目の検査が中心となっており、内容は決まっています。一般的に、血圧、視力、聴力、身長・体重・腹囲、血液検査(貧血・肝機能・血中脂質・血糖)、尿、心電図、胸部X線検査、といった項目を検査します。

一方、人間ドックでは日本人間ドック・予防医療学会が定める基本的な項目に加え、オプション検査を追加できます。例えば、心臓に不安がある人は心エコー検査を、前立腺がんのリスクが高いと言われたことがある人は前立腺がんの腫瘍マーカー測定を、といったようにカスタマイズ可能です。

また、人間ドックでは当日に医師から結果説明がある、生活改善のためのアドバイス(保健指導)が受けられる、精密検査が必要になった場合受診を勧めてくれる、といった受診後のフォローも行われます。
施設によって可能な検査は異なりますが、人間ドックではより個人に合わせた継続的な健康管理が行えるでしょう。

人間ドックの受診を検討すべき人とは


「自分は受けた方がいいのかな?」と迷われている方に向けて、人間ドックの受診をおすすめする人の特徴を以下にまとめました。

  • ・健康に不安を感じている方
  • ・詳細な健康状態を把握したい方
  • ・会社の健康診断では行わない詳しい検査を受けたい方
  • ・身内に病気になった人がいる方
  • ・40代以上の方


特に、心配なことがあって気になる部位を詳しく検査したい方や、40代以上の方におすすめです。生活習慣病の症状が現れやすくなるのは40代頃からとされているため、早期発見を目指しましょう。

推奨される年齢とタイミング

人間ドックは通常20歳以上が対象となりますが、具体的な推奨年齢は公的に設定されていません。
実際に病気になる可能性が高くなるのは30歳代以降であり、特に40歳代からは、がん、糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクが増加します。これらの情報と、ご自身の家族歴や生活習慣も考慮して受診するか決めましょう。

また、定期的な人間ドックの受診は、健康状態を定期的に確認して健康管理を行う上で非常に大切です。自覚症状のないまま病気が進行するのを防ぐために役立ちますので、原則として年に1度の受診が望まれます。

生活習慣や家族歴から見るタイミング

喫煙や過度の飲酒、肥満、高血圧などの生活習慣病にかかるリスクが高い方や、家族にがんや心疾患などの病歴がある方は、特に人間ドックの受診が推奨されます。
これらの条件を持つ方は、自覚症状が現れる前に病気が進行しやすく、早期発見による対応が必要です。また、家族歴がある場合、遺伝的な要因で同じ病気にかかる確率が高い場合があるため、より一層の健康管理に気を配ることが求められます。

人間ドックの主な検査内容とオプション検査


人間ドックには、基本的な検査項目に加えて任意選択のオプション検査が設定されています。どちらも健康状態を把握して病気の早期発見や予防に役立てることを目的として決められているものです。以下で、基本的な検査項目とオプション検査について詳しく解説します。

人間ドックの主な検査内容とオプション検査

基本的な検査項目

人間ドックにおける基本的な検査項目には、以下のものがあります。健康診断と同様に、健康状態を総合的に把握するために実施されます。

血液検査 貧血や感染症、肝機能や腎機能などの評価
尿検査 糖尿病や腎臓病の早期発見
心電図 心臓の異常を確認し、不整脈や狭心症の早期発見
眼底・眼圧検査 眼底の血管や網膜、視神経の状態を確認
胸部X線、上部消化管X線 肺や心臓の異常、例えば肺癌や結核の検出。上部消化管X線では胃や食道の異常、例えばポリープや胃癌などの検出
腹部超音波 肝臓、胆嚢、膵臓などの臓器の状態の確認
呼吸機能検査 呼吸機能や、COPDなど肺の病気の有無を確認
便潜血検査 大腸がんのスクリーニング


これらの検査で全体的な健康状態を調べ早期に異常を早期発見につなげます。特に、血液検査は多くの情報を得られる検査で、体内のさまざまな臓器や代謝などの状態を把握できます。尿検査や心電図、胸部X線などのほかの検査でも、通肺や心臓など対象となる場所の異常を発見できます。

オプション検査の項目

オプション検査は、基本的な検査項目から得られる情報に加えてより詳細な健康状態を確認するために行います。。以下に、主なオプション検査の項目を紹介します。施設ごとに異なりますので、詳細は受診予定の施設に確認しましょう。

脳ドック 脳梗塞や脳腫瘍、脳動脈瘤などの早期発見
心臓ドック 心エコーや運動負荷心電図検査など
内視鏡検査(胃・大腸) ポリープや潰瘍、がんの有無の確認
レディースドック マンモグラフィ、乳房エコー、婦人科診察、骨粗鬆症などの女性に多い病気の早期発見


オプション検査は、1人ひとりの健康リスクや家族歴、生活習慣によって適切な検査を選ぶと良いでしょう。
例えば、50歳代以上になったらがん、脳卒中、心臓病の詳しい検査、大腸がんや乳がんの家族歴がある方は大腸内視鏡やマンモグラフィーと乳房エコー、といったように考えます。

人間ドックの費用と補助制度


人間ドックの費用と補助制度について、費用の目安やオプション追加の際の費用、健康保険組合や自治体の補助制度、医療費控除の可否などを詳しく紹介しています。

基本的な費用の目安

人間ドックにかかる費用は受診する施設や受ける検査によって異なりますが、一般的に3万円から10万円程度です。施設によって基本的な項目にオプション検査を追加したコースが用意されており、実施する検査項目によって値段が変化します。例えば、レディースドック、脳ドック、循環器ドック、などのようなコースがあります。

標準的なコースでは、健康診断と同様に血液検査、尿検査、胸部X線検査、心電図、胃カメラなどが実施されます。より詳細な検査を希望する場合や特に詳しく調べたい場所がある場合は、上位のコースや特化コースを選択するとさらに多くの検査が含まれます。

オプション追加時の費用

オプション検査を追加する場合にかかる費用は施設によって異なります。予約時に確認しましょう。一般的に、検査1つごとに数千円から数万円の費用が発生します。例えば、脳ドックを追加する場合は1万5000円から2万5000円程度、血液検査による腫瘍マーカー測定は1項目3,000円程度かかることが多いでしょう。

オプション検査の追加をする目安は、家族歴や過去の健康診断の結果を踏まえ、必要性を感じるかどうかがポイントです。また、専門医の意見を参考にするとより適切な検査内容を選ぶことができます。

補助制度や医療費控除について

人間ドックの費用負担を軽減するために、各健康保険組合や自治体が補助制度を設けている場合があります。対象年齢や受診条件などがそれぞれ異なるため、自分が所属する健康保険組合や自治体に確認しましょう。

また、人間ドックは基本的に予防を目的とした検査であり、受診費用は原則として医療費控除の対象になりません。ただし、人間ドックの結果病気が見つかり、そのまま治療や精密検査を受けた場合は、一部の費用が医療費控除の対象になることがあります。(人間ドックで異常が見つかっても、そのまま治療をしなかった場合は医療費控除の対象となりません。)
念のため、受診した際の領収書や診断書などの証明書類を保管しておくと安心です。

人間ドックの予約から当日の流れ


人間ドックの予約から当日の流れについて詳しく解説します。初めてでもでもスムーズに受診できるように、具体的な手続きと注意点を確認しておきましょう。

人間ドックの予約から当日の流れ

予約方法とタイミング

人間ドックの予約の際に重要なのは信頼できる病院を選ぶことです。検査内容の充実度、設備の新しさ、口コミや評判、交通の便の良さなどをチェックしましょう。その他ポイントも後述していますので、ご確認ください。また可能であれば施設の繁忙期を避けると、待ち時間の短縮が見込めます。繁忙期は施設によって異なりますが、一般的に健康診断や人間ドックが集中する春や秋に予約が取りにくくなる傾向があります。これらの時期を避けるか、早めの予約を心がけるといいでしょう。また、オンライン予約が可能な施設も増えているため、ウェブサイトで空き状況を確認してから予約するのもおすすめです。

予約時に、健康診断の結果や過去の医療データを持参することが求められることがあります。適切な検査項目を選ぶヒントにもなり、よりスムーズに受診できるでしょう。予約後は検査に関する注意点が案内されるので、確認して準備しましょう。

前日の注意事項

人間ドックを受ける前の日には、いくつかの注意事項を守る必要があります。まず、食事制限です。検査項目によっては、結果に影響する可能性があるため、前日の夕食時間や内容が指定されることがあります。
例えば、腹部エコーや消化に良い食事を心がけ、アルコールや脂っこい食事は避けることが推奨されます。

水分補給についても注意が必要です。水は当日の検査に影響を与えることがほとんどないため、少量であれば飲んでも構いませんが、コーヒーや紅茶などのカフェイン飲料は避けましょう。水も検査施設によって数時間前に控えるように指示がある場合があります。さらに、服薬の可否も重要です。普段から服用している薬がある場合は、医師に相談しておきましょう。検査結果に影響を与える可能性のある薬は、前日に避けたほうがいい場合があります。

その他にも、検査に必要な書類や健康保険証などを確認しておきましょう。他施設で受けた以前の結果があれば持参してください。採尿や採便を自宅で行う場合、採取キットを持参するのを忘れないようにしましょう。

受診当日の流れと所要時間

受診当日は、最初に受付から始まります。指定された時間より少し早めに到着すると安心です。受付で必要な書類を提出した後、案内に従って検査着に着替えます。その後は順次検査を受けます。

検査は順番に行われます。施設によって検査の順番が決まっている場合や、当日の結果を受けて中止となる検査項目がある場合があるでしょう。例えば、血液検査、心電図、超音波検査などが順次行われます。各検査の所要時間は項目ごとに異なるため、一概には言えません。実施する項目によりますが、全体を通して1〜3時間程度かかる場合が多いでしょう。検査が終わった後、医師から結果説明を受け、必要な場合は専門スタッフが生活習慣の改善などのアドバイスや相談の時間が設けられます。詳細な結果は後日届きますので、必ず確認するようにしましょう。

また、検査後の注意点の案内を受ける場合がありますので、体に負担をかけないためにも守るようにしましょう。全ての検査が終了したら着替えを済ませ、最後に料金を精算します。

施設選びのポイントとチェックリスト


人間ドックを受けるにあたって、施設選びは非常に重要です。ここでは、受診する施設選びの際に気を付けたいポイントをチェックリスト形式でご紹介します。

施設選びで確認すべきこと

施設選びの際には、以下のポイントを確認するとよいでしょう。チェックリスト形式にまとめてご紹介します。

  • ・希望する検査が受けられるか
  • ・医師から結果説明があるか
  • ・提携している病院はあるか、どの病院か
  • ・検査実績は豊富か
  • ・人間ドックの機能評価認定施設か※
  • ・専門医や認定資格を所持しているスタッフが在籍しているか
  • ・最新機器が導入されているか、機械が古すぎないか
  • ・女性医師の対応を希望できるか(特に婦人科)
  • ・フロアが性別ごとに分かれているか
  • ・交通アクセスは良いか

口コミや評判

施設を選ぶ際には、口コミや評判も参考になります。可能であれば、過剰な検査を行う施設や結果に対して不安を煽るような説明をする施設は避けたほうが良いでしょう。
実際にその施設で人間ドックを受診した人に、感想や意見を聞いてみるのもいいですね。

※日本人間ドック・予防医療学会では、受診者が安心して健診を受けられるように施設の機能評価を行っています。「機能評価認定施設」かどうかも一つの目安として考えてみましょう。

まとめ|安心して人間ドックを受けるために


人間ドックを受けると、病気の発見・早期診断につながり、病気を予防するための情報が得られます。人間ドックで健康状態を確認することは、自分が健康に対して感じる不安を軽減するだけでなく一緒に生活する家族のためにも意義があることです。特に中高年の方や健康に不安を感じている方は積極的に活用しましょう。安心して人間ドックを受けるためには、信頼できる施設を選び、自分に合った検査コースや費用、助成金制度を理解することが重要です。事前に予約方法や当日の流れを把握し、前日の注意事項を守って受診日を迎えるとスムーズに検査を進められます。賢く人間ドックを受けて、これからの健康に役立てましょう。

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