変形性関節症とは? 原因、症状、治療法をわかりやすく解説
この相互作用の結果、関節のクッション(軟骨)が傷つき、関節全体が変形していきます。
症状が続く場合は自己判断せず、必ず専門医の診察を受けてください。
変形性関節症を正しく知ろう。軟骨が傷む仕組みと種類
長年使い続けた関節は、ある日突然壊れるわけではありません。
変形性関節症は日々の生活の中で少しずつ負担が積み重なり、関節を守る機能が低下していくことで発症します。
ここでは、関節の要である「軟骨」が傷んでしまう主な原因と、そのメカニズムを3つの視点から解説していきます。
なぜ関節が弱くなるの?
変形性関節症は、「関節軟骨」という衝撃を吸収するクッションが、長年の負担や老化によってすり減り、弾力を失うことから発症します。
| 原因 | 詳細 | 説明 |
| 体質 | 遺伝的要因 | 遺伝的原因により生まれつき軟骨が傷みやすい「脆弱な土台」を持っている。 |
| 加齢的変化 | 老化物質の蓄積 | 年齢とともに軟骨が弾力性を失い、壊れやすくなる。 |
| 生活環境 | 食生活やケガ | 肥満や筋力不足、過去のケガなどにより、関節に過度なストレスが繰り返し加わる。 |
変形性関節症の分類
変形性関節症は、発症の原因がわかっているかどうかで分類されます。
| 分類 | 特徴 | 治療 |
| 一次性 | 明確な病気やケガがなく発症。加齢や遺伝が主な要因となるケースが大半。 | 複合的な要因へのアプローチ(運動、体重、薬)が中心。 |
| 二次性 | 過去の外傷や他の病気が原因。 | 生まれつきの股関節の形状異常、過去の半月板損傷など、状況に合わせた治療を考慮。 |
なぜ痛みが続く? 変形性関節症の痛みの原因
変形性関節症の痛みが持続するのは、単に「骨が擦れている」だけではありません。
長期間痛みが続くと神経が過敏になり、脳が痛みを誤認する状態になってしまう可能性があります。
痛みを感じる3つの主な要素
| 疼痛の種類 | 内容 |
| 侵害受容性疼痛 | 骨や炎症といった物理的な損傷からくる痛み。 |
| 神経障害性疼痛 | 神経が傷ついたり、圧迫されたりすることで起こる痛み。 |
| 中枢性感作 | 複数の痛みの情報が伝わった結果、弱い刺激でも痛みを感じるようになった状態。 |
通常神経がないはずの軟骨の奥や半月板にまで神経が伸びてきて、わずかな刺激でも痛みを感じやすくなることが近年の研究で明らかになっています。
変形性関節症とリウマチとの違い
変形性関節症と関節リウマチの最も大きな違いは、病気の「主役」と「炎症の質」です。
| 特徴 | 変形性関節症 | 関節リウマチ |
| 病態の主役 | 軟骨のすり減り、骨の変形(骨棘) | 滑膜(関節を包む膜)の自己免疫による炎症 |
| 炎症の性質 | 非炎症性または局所的な炎症 | 全身性の強い炎症性疾患 |
| 腫れの感触 | 硬い骨腫脹(骨がトゲ状に突出する) | 炎症による柔らかい滑膜腫脹(熱感や赤みを伴う) |
| 血液検査 | 炎症マーカー(CRPなど)は正常であることが多い | 炎症反応が高値となる(鑑別の決め手) |
| 症状の持続 | 朝のこわばり(ゲル現象)は短時間で治まる | 朝のこわばりが長時間(例:1時間以上)持続する |
変形性関節症とリウマチがよく発症しやすい部位比較
手や足の関節のどこが腫れているかを確認することで、両者を鑑別することが可能です。
| 罹患関節の部位 | 変形性関節症が好む部位 | 関節リウマチが好む部位 |
| 手指 | 第一関節、第二関節 | 中手指節間関節、手首 |
| 下肢 | 膝、股関節 | 足首、足の指の付け根 |
| 脊椎 | 首の付け根、腰椎 | 首の上部 |
変形性関節症の治療方法は?
変形性関節症の治療目的は、痛みを抑えて機能を維持、改善することです。科学的な根拠に基づき、運動療法、薬物療法、手術が選択されます。
治療効果には個人差があり、必ずしも全ての方に同様の効果が現れるわけではありません。
薬物療法
薬物治療は痛みを和らげ、リハビリを継続できる状態にすることが最大の目的です。
| 治療法 | 期待できる効果 | 内容 |
| 痛み止め | 炎症と痛みを緩和 | 長期の連用は胃腸や心臓血管系へのリスクがあるため、使用期間に注意が必要 |
| ヒアルロン酸注射 | 関節の滑りを良くし、痛みを軽減 | 注射直後の短期効果はステロイドに劣るが、12週目以降の持続効果が優れていることが示されている |
| ステロイド注射 | 炎症が強い場合の強力な短期的な除痛 | 頻回使用は軟骨を傷めるリスクがあるため限定的 |
変形性関節症の運動治療
変形性関節症の治療において、運動療法は一般的かつ大変重要です。
運動治療の目的
運動療法の一番の目的は、「痛みがあるから動かさない」「動かさないから筋力が落ちる」「筋力が落ちるからさらに痛む」という悪循環を断ち切ることにあります。
| 目的 | 得られる効果 |
| 痛みの緩和 | 筋力が安定することで関節への負担が減り、痛みが和らぎます。 |
| 機能の改善 | 筋力や関節の動く範囲(可動域)が維持、あるいは向上し、日常生活の動作が楽になります。 |
| 病気の進行予防 | 筋力強化によって関節が安定し、軟骨への力学的負荷(物理的な衝撃)が軽減されます。 |
運動治療の具体的な内容と効果
特に膝の変形性関節症においては、太ももの筋肉が弱り、軟骨へのダメージを増大させる大きな原因となります。
【太ももの筋肉を鍛える】
膝関節が不安定になるのを防ぐためには、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)の強化が特に重要です。
この筋肉を鍛えることで膝関節が安定し、軟骨への直接的な衝撃を軽減する効果が期待できます。
生活指導と補助的なサポート
運動治療を最大限に生かすためには、生活全般の見直しをセットで行うことが重要です。
体重管理による負荷軽減
肥満や筋力不足は変形性関節症を悪化させる主な要因です。
一般的に、体重が1kg増えるだけで、膝にかかる負荷は平地歩行で2~3kg、階段昇降時にはそれ以上増えると言われています。運動治療には、そうした日常の負荷を抑えるための生活改善も含まれます。
補助具の利用
杖(荷重を分散させる)、足底板(靴の中敷き)、装具などは関節への負担を減らし、機能改善をサポートする上で有効です。
病院によるサポート
病院では健康に関する様々な指導やトレーニング方法を教えている場合が多く、生活習慣に関する指導を受けたり、病気についての正しい知識を得たりすることができます。
もし、かかりつけの病院があるなら相談してみることも考えましょう。特に、整形外科医への相談が推奨されます。
セルフケアには限界があります。症状の改善が見られない場合や悪化する場合には、迷わず専門医に相談しましょう。
緊急受診が必要な危険なサイン(レッドフラグ)
以下のような症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診してください:
- 急激な痛みの増悪
- 関節の著しい腫れや赤み、熱感
- 発熱を伴う関節痛
- 関節の変形が急速に進む場合
- 安静にしていても痛みが続く場合
- 体重が急激に減少するなどの全身症状
【参考文献】
日本リウマチ財団「変形性関節症」(https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/illness/oa/)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspc/27/1/27_19-0018/_html/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/99/10/99_2497/_pdf
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医学博士
金沢大学大学院卒業
自分が患者様ならどうして欲しいか、を考え日々の診療を行っています。
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