膝に水が溜まるのはなぜ? 原因・症状・治療・予防法を詳しく解説

2026/01/13
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膝に違和感や腫れがある方の中には、「水が溜まっているのでは」と不安になる方もいるのではないでしょうか。膝に水が溜まると、立ち上がりや歩行の際に重だるさを感じたり、動かしにくくなったりすることもあります。この症状には生活習慣が関係していることが多いとされており、改善に向けては早めの対応が大切です。

本記事では、以下の点を中心に解説します。

●「膝に水が溜まる」とはどのような症状か
●膝に水が溜まっていることをセルフチェックする方法
●膝に水が溜まったときの治療法

ぜひ最後までお読みください。
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目次

「膝に水が溜まる」とはどのような症状か


膝に水が溜まるとはどのような状態を指すのでしょうか。
以下で詳しく解説します。

膝の水(関節液)とは

膝の関節内には、「関節液」と呼ばれる透明で粘り気のある液体があります。関節の動きをなめらかにする潤滑油のような役割を持ち、軟骨に栄養を届ける大切な働きも担っています。

この関節液は滑膜(かつまく)という膜で作られ、通常は数ミリリットル程度の量を保っています。しかし、炎症が起きたり、刺激が過剰に加わったりすると分泌量が増え、「膝に水が溜まる」状態になります。

体液と関節液の関係

体内には血液やリンパ液など、生命活動を支える様々な体液があります。関節液もその1つで、関節の動きをなめらかにし、摩擦を減らす役割を担っています。

血液が全身に酸素や栄養を届けるように、関節液は軟骨へ栄養を送り、関節内の環境を保つ重要な働きをしています。また、軟骨や半月板(はんげつばん)、滑膜などと協調しながら、膝への衝撃を和らげるクッションのような役割も果たしています。

膝に水が溜まっていることをセルフチェックする方法


膝に水が溜まると、腫れや重だるさ、動かしにくさなどの違和感があらわれることがあります。自覚症状が軽くても、膝を触るとプカプカとした感覚がある場合は注意が必要です。

以下では、膝に水が溜まった時の状態とセルフチェックの方法について解説します。

膝に水が溜まった時の状態

膝に関節液が溜まると、関節全体が腫れぼったく見えたり、重さや突っ張るような感覚を覚えたりします。膝の可動域が狭くなり、曲げ伸ばしの動作がスムーズにできなくなることもあります。
特に膝のお皿の上や周囲がふくらんで見える場合は、関節内に余分な液体が溜まっているサインかもしれません。放置すると痛みや違和感が悪化することもあるため、早めの受診が大切です。

セルフチェック方法

膝に違和感を覚えたときは、簡単なセルフチェックで状態を確認できます。まず、床に座って脚をまっすぐ伸ばし、両手で膝のお皿を上下からそっと押してみましょう。お皿がフワッと浮くような感覚や、動かしたときに違和感がある場合は、関節内に液体がたまっている可能性があります。

膝の腫れや重だるさ、動かしにくさを感じた際は、無理をせず早めに整形外科などの医療機関への相談が大切です。

このような症状はすぐに医療機関へ(危険なサイン)

セルフチェックとあわせて、以下のような症状が見られる場合は、より緊急性の高い状態である可能性が考えられます。放置せずに速やかに医療機関を受診してください。

       
  • 強い痛みで体重をかけられない、または全く歩けない
  •    
  • 膝が赤く腫れあがり、熱を持っている
  •    
  • 転倒や怪我など、はっきりとしたきっかけの後に急に膝が腫れてきた

これらのサインは、単に関節液が溜まっているだけでなく、骨折や細菌感染、靭帯(じんたい)の断裂といった重篤な状態を示唆している場合があります。

膝に水が溜まる原因


膝に水が溜まる原因としては、加齢や炎症、外傷などによって関節内の組織が刺激を受けることなどが挙げられます。
以下では、膝に水が溜まる原因について詳しく解説します。

変形性膝関節症

加齢の影響で、膝関節の軟骨や半月板が少しずつすり減っていくと、関節のなかで炎症が起こりやすくなります。炎症によって関節液の分泌量が増えると、膝に水が溜まり、腫れや痛みがあらわれることがあります。

このような症状は特に中高年の方に多く見られ、放置すると関節の変形や可動域の制限が進行する可能性もあります。早期の段階で治療を始めることで進行を抑え、日常生活への影響を軽減することが期待できます。

半月板損傷・靭帯の損傷

スポーツを行っている際の急な動きや転倒、強い衝撃などによって、膝の半月板や靭帯を痛めることがあります。損傷部位では炎症が生じやすく、関節液が必要以上に分泌されることにより膝が腫れたり、水が溜まったりすることがあります。

多くの場合、突然の痛みや膝のぐらつき、動かしにくさを伴うため、放置せず早めに整形外科を受診することが大切です。適切な診断と治療により、回復を早めることが期待できます。

関節リウマチ・痛風

関節リウマチや痛風などの疾患によって膝に水が溜まることがあります。関節リウマチは、免疫の異常によって関節の滑膜に炎症が起こり病気で、関節液が過剰に分泌されやすくなります。

朝起きたときに手足の関節がこわばる“朝のこわばり”が特徴の1つです。一方、尿酸が関節内にたまることで炎症が起き、突然の強い痛みや腫れを生じる痛風という疾患があります。どちらの症状も放置せず、早期に医療機関での治療を受けることが大切です。

膝に水が溜まったときの治療法


ここまで膝に水が溜まる原因やセルフチェック法などについて解説してきました。
膝に水が溜まってしまった場合は、症状の程度や原因に応じて段階的な治療が必要になります。ただし、治療の効果や改善までの期間には個人差があることをご理解ください。
以下では、膝に水が溜まったときの治療法について詳しく解説します。

薬物療法

膝に水が溜まった場合、炎症や痛みを抑えるために薬による治療が行われることがあります。基本的には、腫れや痛みを緩和するために消炎鎮痛薬や抗炎症薬を用いることが多いです。

必要に応じて、貼り薬や塗り薬を併用し、膝周辺の局所的な痛みを和らげることもあります。症状が強い場合には、ステロイド注射やヒアルロン酸注射、さらには免疫の働きを調整する薬を使用するケースもあります。症状の原因や程度に応じて、適切な薬剤を選ぶことが大切です。

注射療法

注射療法とは、膝関節に直接薬剤を注入して症状を和らげる治療法です。ヒアルロン酸やステロイドを関節内に注射することで、関節の動きを滑らかにし、炎症を抑える効果が期待できます。

ヒアルロン酸は関節の潤滑を補うこと、ステロイドは強い炎症や痛みを短期間で軽減することに有効とされています。症状の程度や改善の経過に合わせて、一定期間に数回行われることもあります。負担を抑えつつ痛みを軽減する治療として利用されていることが多いです。

関節液の除去

膝にたまった関節液の量が多い場合には、注射器を用いて余分な液体を取り除くこともあります。関節内の圧を下げることで、腫れや張り、痛みなどの不快感の軽減が期待できます。

関節液の除去は外来でも短時間で実施でき、即効性があります。ただし、水を抜くだけであり、再び過剰に分泌されて再発することもあるため、炎症や関節の損傷など、根本的な原因を治療することが大切です。

リハビリテーション

膝の回復や再発予防には、ストレッチや軽い筋力トレーニングがおすすめです。膝の周囲の筋肉を鍛えることで関節を支える力が高まり、安定性や柔軟性の向上につながります。

痛みが強いときは無理をせず、関節の動きをサポートしながら、負担の少ない範囲で継続して筋力の向上と機能の回復を目指しましょう。特に変形性膝関節症が原因の場合は、理学療法士の指導のもとで正しい姿勢と運動を行うことが大切です。

手術療法

薬やリハビリなどの保存的な治療で十分な改善が得られない場合や、関節の損傷、変形が進行している場合には、手術による治療が検討されます。

手術にあたっては、関節鏡を用いた処置や、骨の位置を調整する骨切術(こつきりじゅつ)、人工膝関節への置換など、症状や原因に応じた方法が選択されます。術後はリハビリを通して膝の動きを回復させ、再発を防ぐことが重要です。

膝に水が溜まるのを予防する方法


膝の健康を保つためには、日常的な運動習慣と体重管理、筋力維持が重要です。ただし、ここで紹介する方法はあくまで予防や症状緩和の一助です。痛みが続く場合や悪化する場合には、自己判断で続けずに必ず医療機関を受診してください。 以下では、膝に水が溜まることを予防する方法を紹介します。

適度な運動

膝の健康を保つためには、無理のない範囲で身体を動かすことが大切です。ウォーキングや水中運動など、膝への負担を抑えた運動を日常に取り入れるとよいでしょう。

運動前にはストレッチで筋肉を温め、関節を動かしやすくしておくことがポイントです。長時間続けるよりも、短時間でも長期間継続することがよいとされています。正しい姿勢を意識しながら、身体に負担をかけないよう調整することで、膝の安定性や柔軟性の維持につながります。

体重管理

膝への負担を減らすためには、体重を適正な範囲で保つことが重要です。体重が増えると、その分だけ関節にかかる圧力も大きくなり、炎症や痛みの原因となることがあります。

栄養バランスの取れた食事を意識し、間食や過食を控えることが基本です。また、ウォーキングやストレッチなど、膝に優しい軽めの運動を取り入れて、無理のないペースで体重管理を続けることが、膝の健康維持につながります。

筋トレ・ストレッチ

膝の安定性を保つためには、太ももやふくらはぎなど、膝を支える筋肉をしっかりと鍛え、柔軟に保つことが大切です。筋力トレーニングによって膝周囲の筋肉を強化することで、関節への負担を減らすことが期待できます。

また、ストレッチを日常的に行うことで、関節や腱の柔軟性の維持や、ケガの予防にもつながります。無理のない範囲で継続することが、健康的な膝づくりのポイントです。

まとめ


ここまで膝に水が溜まる原因や症状、治療法、予防法などについて解説してきました。要点をまとめると以下のとおりです。

       
  • 「膝に水が溜まる」とは、関節内で作られる関節液が通常より多く分泌され、膝の中に過剰に溜まってしまう状態を指す。これは病気そのものではなく、膝関節に炎症や刺激が起きているサインとされている
  •    
  • 膝に水が溜まっていることをセルフチェックする方法は、まず、床に座って脚をまっすぐ伸ばし、両手で膝のお皿を上下からそっと押したときにお皿がフワッと浮くような感覚があるか、膝を動かしたときに違和感があるかを確認する。違和感があれば、関節内に液体がたまっている可能性がある
  •    
  • 膝に水が溜まったときの治療法としては、薬物療法や注射療法、関節液の除去、リハビリテーション、手術療法が挙げられる

膝の腫れや違和感は、関節の炎症や損傷など、身体からのサインであることも少なくありません。似たような症状であっても原因は多岐にわたるため、安易な自己判断はせず、必ず専門の医療機関で診断を受けるようにしてください。放置せず、早めに病院へ相談することで、悪化を防ぎ日常生活への支障を軽減できます。

普段から体重管理や軽い運動、ストレッチを心がけ、膝への負担を減らすことが、健康な関節を保つ第一歩です。

【参考文献】
北里大学北里研究所病院「変形性膝関節症」(https://www.kitasato-u.ac.jp/hokken-hp/visitor/office_visit/deformation.html
https://hp.kmu.ac.jp/hirakata/visit/search/sikkansyousai/d16-010.html
https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/seikei/disease/disease14.html
https://utano.hosp.go.jp/section/13_21.html

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監修医 澤田 樹佳 (さわだ・きよし)
さわだクリニック院長
医学博士
金沢大学大学院卒業

自分が患者様ならどうして欲しいか、を考え日々の診療を行っています。
医療的な問題ならどんなことでもサポートしてまいります。

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