膝が痛む原因とは? 膝が痛いときの主な症状から治療法まで解説

2026/01/07
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膝の痛みは、年齢や生活習慣、運動の仕方など、さまざまな要因によって引き起こされます。違和感をそのまま放置すると症状が悪化することもあるため、原因を知り、早めに対処することが大切です。
本記事では、主に以下の点を解説します。

●痛む場所から考えられる原因
●膝が痛いときに見られる主な症状
●膝の痛みに応じた治療法

ぜひ最後までお読みください。
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目次

痛む場所から考えられる原因

 

膝の痛みには、関節や靭帯、筋肉などさまざまな組織が関係しています。膝のどの部分に痛みが出ているかを把握することが、原因を特定するポイントになります。

膝の内側が痛い

膝の内側の痛みは、関節や靭帯、腱のトラブルによって生じることが多いとされています。日常の動作や運動の際に違和感を覚えるケースが多い傾向です。

主な原因には次のようなものがあります。

  • 変形性膝関節症
  • 内側半月板損傷
  • 内側側副靭帯損傷
  • 鵞足炎
  • 内側滑膜ヒダ炎

膝の内側に痛みが生じる背景には、加齢や体重の増加、運動中の外傷などがあります。痛みの部位や発生状況を確認し、適切な診断と治療を受けることが大切です。

膝の外側が痛い

膝の外側に痛みを感じる場合、関節や靭帯、筋の使いすぎや衝撃による損傷が関係していることが考えられます。

考えられる主な原因は次の通りです。

  • 腸脛靭帯炎
  • 外側側副靭帯損傷
  • 外側半月板損傷

腸脛靭帯炎はランナー膝とも呼ばれ、走行や階段の上り下りなどで膝の外側に繰り返し負担がかかることで生じやすいとされています。

外側側副靭帯損傷は、外側からの衝撃を受けた際に靭帯が伸びたり切れたりすることで痛みが出ます。

外側半月板損傷では、転倒やひねり動作による外傷のほか、加齢による組織の摩耗や変化が原因となることもあります。

膝の裏が痛い

膝の裏に痛みがある場合、関節や靭帯、筋肉の炎症や腫れが関係していることがあります。主な原因は以下のとおりです。

  • ベーカー嚢腫
  • 変形性膝関節症
  • 半月板損傷
  • 膝靭帯損傷
  • 関節リウマチ

膝の裏は血管や神経、靭帯が集まる複雑な構造です。いずれかに炎症や損傷が起きると痛みがあらわれます。

ベーカー嚢腫では、膝を曲げたときに張りや膨らみを感じることがあり、進行すると動かしにくくなることもあります。症状が続く場合は、無理をせず状態を確認することが大切です。

膝の上が痛い

膝の上部に痛みを感じるときは、太ももの筋肉や腱への負担、あるいは関節周囲の摩擦や腫れが関係している場合があります。特に、運動量が多い方や長時間立ち続ける仕事をしている方に起こりやすい傾向です。

主な原因としては次のようなものが挙げられます。

  • 大腿四頭筋腱炎
  • 膝蓋前滑液包炎
  • 膝蓋大腿関節症

大腿四頭筋腱炎はジャンパー膝とも呼ばれ、膝蓋骨の上部につながる腱に繰り返し負荷がかかり、炎症が起こることで痛みが生じます。膝蓋前滑液包炎は、膝前面の滑液包に摩擦が生じ、腫れや熱感を伴うことがある症状です。膝蓋大腿関節症では、膝蓋骨と大腿骨の接触部分で軟骨がすり減り、膝の曲げ伸ばしを行う際に違和感を覚えるケースが見られます。

痛みが続く際は、休養や負荷の調整を意識しましょう。

膝が痛いときの主な症状

 

膝の痛みには、腫れやこわばり、動作時の不安定感など、さまざまな症状が伴います。症状の種類によって原因や対応法が異なるため、どのような状態が見られるかを把握することが、適切なケアへの第一歩です。

膝が腫れ、水がたまる(関節水腫)

「膝の中に水がたまる」と表現される状態は、関節内に存在する関節液が過剰に増えていることを指します。

関節液は本来、関節の動きを滑らかにし、軟骨へ栄養を届ける大切な役割を担うものです。正常時は数ミリリットル程度しか存在しませんが、炎症などで滑膜の働きに乱れが生じると、関節液が過剰に分泌され、回収が追いつかなくなります。その結果、膝が腫れたり、張りを感じたりします。

初期の段階では、膝に違和感を覚える程度で、朝起きたときや動き始めに突っ張る感覚を伴うことがあります。進行すると熱感や強い腫れを伴い、立ち上がりや階段の上り下りの際に痛みを感じやすくなります。

歩行時や階段の上り下りでの痛み

歩行や階段の昇り降りの際に膝の痛みを感じる場合、その背景には関節や軟骨の不調、筋力の低下など、複数の要因が関係していることが多いです。膝は全身の体重を支える重要な関節であり、わずかな負担の積み重ねでも痛みを生じることがあります。

代表的な原因には以下のようなものがあります。

  • 加齢による関節軟骨のすり減り
  • 半月板損傷
  • 膝蓋大腿関節症
  • 膝蓋腱炎
  • 筋力低下による関節の不安定性
  • 不適切な歩行姿勢によるストレス

歩行や階段の上り下りの際に膝が痛む場合、加齢や筋力低下、姿勢の乱れなどによって関節に負担がかかっていることが考えられます。同じ動作を繰り返すことで摩耗や炎症が生じやすくなるため、膝への負担を減らし、生活動作を見直すことが重要です。

膝の曲げにくさとこわばり

膝に曲げにくさや、こわばる感覚があるときは、関節や筋肉の柔軟性が低下していることが主な原因と考えられます。しゃがむ、正座する、立ち上がるなどの動作で違和感を覚える場合は、太ももの筋肉や腱の動きが硬くなっている可能性があります。

一方で、半月板損傷や変形性膝関節症、滑膜炎などの疾患が背景にあるケースもあります。膝の内部で炎症や摩耗が起こると、関節の動きが制限され、曲げ伸ばしに抵抗を感じることがあります。長時間座った後や運動を行った後に膝が固まるような感覚が続くようでしたら、筋肉の疲労や関節への負担を減らす工夫が必要です。

膝がガクッとする・不安定感がある

歩行時や立ち上がりの瞬間に膝が“カクッ”と抜けるように感じるときは、膝関節を支える機能がうまく働いていないことが考えられます。

こうした膝の不安定感(膝崩れ)の原因には、主に次のようなものがあります。

  • 前十字靭帯や内側側副靭帯の損傷
  • 半月板損傷による関節内の引っかかり
  • 変形性膝関節症による関節の噛み合わせ不良
  • 加齢や運動不足による筋力低下

いずれの症状も、膝の支えが弱まることで起こりやすくなります。痛みがなくても不安定な感覚が続く場合は、転倒を防ぐために無理のない範囲で脚の筋力維持を意識することが重要です。

膝が痛む場合に考えられる疾患

 

膝の痛みは、関節や軟骨、靭帯などのさまざまな疾患によって引き起こされます。ここでは、膝の痛みに関連する代表的な疾患と、その特徴を紹介します。

変形性膝関節症

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ることで炎症や変形を起こし、痛みや腫れを伴う慢性的な疾患です。加齢や筋力の低下、体重増加などによって関節への負担が積み重なることにより、時間をかけて症状が進行していきます。

初期は、立ち上がりや階段の昇り降りで違和感を覚える程度です。しかし、炎症が悪化すると膝が腫れ、熱をもつようになるケースも少なくありません。さらに進行すると関節の動きが制限され、歩行や正座などの動作が難しくなることもあります。

原因には、加齢による変化が中心の一次性と、外傷や病気の影響による二次性があります。どちらの場合も膝への負担を軽減し、早い段階からケアを行うことが症状の進行抑制につながります。

半月板損傷

半月板損傷は、膝の関節内にある軟骨組織(半月板)が傷つくことで起こる障害です。サッカーやバスケットボールなど、ひねりや急な方向転換を伴うスポーツ中の発症が多く、疲労の蓄積や無理な動作によっても起こり得ます。

主な症状として、膝を曲げ伸ばしする際の痛みや引っかかり、突然膝が動かなくなるロッキング現象、歩行中に膝が崩れるような感覚などが挙げられます。進行すると、膝に水がたまる、階段の昇降が困難になるなどの症状が続くこともあります。

軽度の場合は安静やリハビリ、装具の使用などによって改善が見込まれますが、損傷の程度が大きい場合には手術の検討も必要です。

靭帯損傷

膝の靭帯損傷は、膝に強い外力が加わった際に発生するケガで、スポーツ中の転倒や接触、交通事故などが主な原因となります。サッカーやスキーなど、ひねりや急停止を伴う動作の際に発症しやすく、内側側副靭帯や前十字靭帯の損傷がよく見られます。

発症直後は強い痛みや腫れが生じ、膝の曲げ伸ばしが難しくなることがあります。症状が落ち着いても、膝がぐらつく、階段や下り坂で不安定に感じるなどの違和感が残る場合は注意が必要です。放置すると半月板など、ほかの組織に負担がかかってしまいます。

治療は損傷の程度次第で、軽症ではサポーターやテーピングを用いて膝を動かしながら回復を促す方法がよく用いられます。重度の場合には、安定性を取り戻すために手術が検討されることもあります。

関節リウマチや炎症性関節炎

関節リウマチは、免疫の異常によって自身の関節を攻撃してしまう自己免疫性の疾患です。40〜60代の女性に多くみられ、膝関節に炎症や痛み、腫れを引き起こすことがあります。初期症状として朝のこわばりや関節の熱感、腫れなどがあらわれるのが特徴です。

炎症が長く続くと、軟骨がすり減って関節の形が変わり、動かしづらくなることもあります。発症には遺伝的要因や喫煙、歯周病などが関係しているとされ、早期発見と適切な管理が重要です。

また、急に膝が腫れて熱を帯びる場合は、痛風や偽痛風、化膿性関節炎などの急性炎症性疾患の可能性もあります。いずれも放置すると関節の損傷が進むおそれがあるため、異常を感じた際は早めの受診が望まれます。

オスグッド病や鵞足炎などのスポーツ障害

オスグッド病や鵞足炎は、膝に繰り返し負担がかかることで起こるスポーツ障害の代表例です。成長期の子どもや、日常的にランニングやジャンプ動作を行う競技者に多くみられます。

オスグッド病は、成長期の脛骨(すねの骨)の付け根に大腿四頭筋の引っ張る力が繰り返し加わることで生じ、膝のお皿の下が出っ張って痛むのが特徴です。

一方、鵞足炎は膝の内側にある腱の付着部が炎症を起こし、階段の昇り降りや走行時に痛みを感じやすくなります。

オスグッド病や鵞足炎は、運動のしすぎやストレッチ不足が関係しています。痛みがある場合は無理をせずに休息をとり、適切なケアを行うことが大切です。

膝が痛いときの治療法

 

膝の痛みの治療は、症状の程度や原因によって段階的に行われます。薬やリハビリなどの保存療法から、必要に応じて装具、手術まで、多角的なアプローチで改善を目指します。

薬物療法

膝の痛みや炎症を和らげる方法として、薬物療法が行われることがあります。症状の程度や原因に応じて、外用薬、内服薬、関節内注射などが使い分けられます。

軽い痛みであれば、シップ薬や軟膏などの外用薬で炎症を抑えることができます。痛みが強く、日常動作に支障を感じる場合には、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)を服用して炎症と痛みを一時的にコントロールします。膝関節内にヒアルロン酸を注入する治療法は、関節の動きを滑らかにし、軟骨表面を保護する目的で行われることが多いです。

これらの薬は症状を和らげるサポート的な役割を果たすものであり、医師の判断のもとで適切に用いることが重要です。

リハビリや運動療法による改善

膝の痛みを軽減し、関節の動きを正常に保つには、リハビリや運動療法が重要です。関節を動かすことで筋力を維持し、膝への負担を和らげることができます。また、大腿四頭筋やハムストリングスなど、膝を支える筋肉を鍛えることで安定性が高まり、再発予防にもつながります。

リハビリは、痛みが強い時期には無理をせず、炎症が抑まった段階から始めるのが基本です。状態が落ち着いたら、軽いストレッチや筋力トレーニングを取り入れ、徐々に動かす範囲を広げていきます。

また、正しい姿勢での歩行練習や、自宅でのホームエクササイズを続けることも効果的です。医師や理学療法士の指導を受けながら、症状や体力に合わせて運動を継続することで、機能の回復と再発防止が期待できます。

装具療法

装具療法は、膝関節の負担を軽くし、歩行時の安定性を高める保存的治療です。足底や靴に装具を取り付け、体重のかかる位置を調整して関節の圧力を分散させます。特に、O脚傾向のある方にとっては、膝の内側に集中する負担を外側へ逃がすタイプが有効とされています。

装具には、靴に入れるインソール型や、膝を支える支柱付きサポーターなどがあり、症状に合わせて選択します。正しく使用すれば、痛みを和らげながら可動域を保てる場合もあります。

市販品もありますが、膝の角度や歩行バランスに合わせて専門家が作る装具が理想的です。誤った装着は逆効果になることもあるため、定期的な調整と指導を受けながら使用を続けましょう。

生活習慣の見直し

膝への負担を軽くするには、日常動作の見直しが欠かせません。正座や和式トイレの使用など、膝を深く曲げる動作は避け、椅子に座り、洋式トイレを使うなど膝を伸ばした姿勢を意識しましょう。

また、体重管理も重要です。体重が1kg増えると膝への負荷は数倍に増すため、適正体重の維持が痛みの予防につながります。バランスの良い食事を心がけ、軽い運動を取り入れるなど、無理のない範囲で体重をコントロールすることが大切です。

歩行時の痛みには杖やサポーターがおすすめです。杖は痛む側と反対の手で使用し、体重を分散させるようにします。靴はクッション性の高いスニーカーを選びましょう。

手術

保存療法で症状が改善しない場合や、関節の変形が進行して歩行に支障をきたす場合には、手術が検討されます。

主な手術法は以下の通りです。

  • 関節鏡視下手術
  • 高位脛骨骨切り術
  • 人工膝関節置換術

関節鏡視下手術は軽度の損傷に対応し、早期の回復が期待できる点が特徴です。高位脛骨骨切り術は関節を温存できるため、活動的な方に適しています。人工膝関節置換術は痛みの改善が期待できますが、人工関節の耐用年数などに留意する必要があります。

膝の状態や生活スタイルを考慮し、医師と相談しながら手術方法を選ぶことが重要です。

まとめ

 

ここまで膝の痛みの原因や治療法についてお伝えしてきました。記事の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 膝の痛みは、痛む部位によって原因が異なり、関節、靭帯、筋肉などの異常が関係している
  • 腫れやこわばり、不安定感などの症状は疾患のサインであり、早期の確認が重要である
  • 薬やリハビリ、装具、生活改善、手術など、症状に合わせて多角的な治療を選択することが有効とされている

膝の不調は放置せず、早めに原因を見極めて適切なケアを行うことが、快適な日常生活を取り戻す第一歩です。

【参考文献】
東京医科大学病院市民公開講座 第122回「変形性膝関節症~予防と治療~」(https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/info/data/lecture_122.pdf

https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/seikei/disease/disease14.html

https://hp.kmu.ac.jp/hirakata/visit/search/sikkanbasyo/2671t80000004hjg.html

https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/37.html

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監修医 澤田 樹佳 (さわだ・きよし)
さわだクリニック院長
医学博士
金沢大学大学院卒業

自分が患者様ならどうして欲しいか、を考え日々の診療を行っています。
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