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2023/02/16 ( 公開日 : 2023/02/16 )
アナフィラキシーショックとは? もしもの際の応急処置についても収録

アナフィラキシーショックとは?

アレルギーによって、血圧低下や意識レベルの低下を伴う場合を「アナフィラキシーショック(反応)」と呼びます。
アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因の物質)が体内に入ってから短時間で起こり、命に危険を及ぼすものです。
日本の食物アレルギー人口
厚生労働省によると、日本では全人口の1~2%が何らかの食物アレルギー(乳児のみだと約10%)だと報告されています。
食物アレルギーの発症割合として5歳以下で80%、10歳以下で計算すると90%と、乳幼児期~学童期までに発症する割合が高いことがわかっています。
食物アレルギーの発症は乳幼児期が最も多く、年齢とともに漸減しますが、大人になって初めて起こる場合もあり、注意が必要です。
アナフィラキシーショックによる死亡者数
厚生労働省の人口動態統計の集計では、日本におけるアナフィラキシーによる年間死亡者数は毎年60名前後で推移しています。
喘息がある方はアナフィラキシーの重篤化の危険性が高く、注意が必要です。
アナフィラキシーの原因(アレルゲン)
アナフィラキシーを起こす原因には、食物摂取、虫刺され、医薬品などが挙げられます。
ここではアナフィラキシーを起こすケースでよく見られる上記の3点に絞って、詳しく解説していきます。
食物摂取
食物摂取でのアナフィラキシーショックは、ほかの原因とくらべて症例数が多く、乳幼児期および学童期に多いです。
またアレルゲン摂取後の2時間以内に運動をすることで、アナフィラキシーショックを発症することもあります。
ただちに救急車を呼び、医療機関での治療を受けることが大切です。
◇アレルゲンとなる食物について特定原材料の7品目

・カニ
・エビ
・牛乳
・卵
・小麦
・ピーナッツ
・そば
中でも小児期にアレルギーを起こしやすい食物は、鶏卵と牛乳です。
これらを含む容器包装された加工食品を販売する際は、表示が義務づけられています。
虫刺され

「ハチに2度刺されると危ない」といわれた経験があると思います。
2度刺されると免疫が反応しやすくなっており、症状を起こす物質が放出され、アナフィラキシーショックを起こしやすいです。
刺されるとアレルゲンとなる虫については、おもに蜂、蟻、ムカデなどが挙げられます。
医薬品

アレルゲンとなる主な薬物としては抗生物質、解熱剤、造影剤薬物投与などが挙げられます。
アナフィラキシーの症状
アナフィラキシーショックでは、複数のアレルギー症状が同時に急激に進みます。
アレルギー症状について、発症する場所別について記載します。
症状が発症する場所 | アレルギー症状 |
---|---|
皮膚症状 | かゆみ じんましん むくみ 発赤 湿疹 など |
呼吸器症状 | くしゃみ 鼻水 鼻づまり 咳 息苦しさ 喘鳴 など |
粘膜症状 | 目の充血や腫れ 涙 かゆみ 口の中や唇・舌の違和感 腫れ など |
消化器症状 | 下痢 吐き気・嘔吐 血便 など |
神経症状 | 頭痛 元気喪失 意識もうろう 血圧低下 意識レベルの低下 失神など |
急激な血圧低下や意識消失など、迅速に対応しなければ命に関わることがあり、注意が必要です。
アナフィラキシーショックの判断基準

以下の3項目のうちいずれかに該当すればアナフィラキシーと判断します。
①皮膚症状(全身の発疹など)、または粘膜症状(口唇・舌の腫脹など)のいずれかがあり、急速(数分〜数時間以内)発現する呼吸器症状(喘鳴)や循環器症状(血圧低下・意識障害など)が確認される
②アレルゲンを摂取または触れた後、急速(数分~数時間以内)に皮膚・粘膜症状、呼吸器症状、循環器症状、消化器症状のうち2つ以上が確認される
③アレルゲンを摂取または触れた直後に、平常時血圧の70%未満を基準とする急速な血圧低下がみられる
これらが確認できる場合、アナフィラキシーショックとして応急処置を始めます。
アナフィラキシーショックの治療方法
アナフィラキシーショックは命に関わる場合が多く、応急処置が重要です。
治療の段階としては、応急処置、病院での処置、症状鎮静後の処置がありますので、それぞれ解説していきます。
応急処置
すぐに救急車を呼んだ上で以下の処置を行い、救急隊の到着を待ちます。
- 衣服をゆるめる
- 体勢を寝かせ足を30㎝程度上げる
- 冷えがあれば毛布などで保温する
- 意識がある場合、常備薬があれば服用する
意識がなかったり心肺停止の場合には胸骨圧迫、人工呼吸、AEDなどの処置が必要になります。
また患者自身がアドレナリンを持っている場合は「アドレナリン筋注」を行います。
医療機関での処置
救急車や病院では応急処置に加えて以下の処置を行います。
- バイタルサインの確認
- アドレナリンの筋肉注射(自己注射を打っていない場合)
- ステロイド・抗ヒスタミン剤などアドレナリン以外の薬物投与
- 酸素投与
- 食塩水投与など静脈ルートの確保
一通りの処置を終えたあとは、定期的に血圧、脈拍、呼吸状態、酸素化などバイタルを確認しながら、全身状態の落ち着きを図ります。
症状鎮静後の処置
今後もアナフィラキシーを発症する可能性があるため、応急処置用にアドレナリンの自己注射器を処方します。
患者が子どものケースでは、保育所や学校での生活において特別な配慮や管理が必要な場合「生活管理指導票(アレルギー疾患用)」を作成します。
ここにはアレルギーやアナフィラキシーの既往歴、留意点などを記載できるようになっているため、第三者が見ても管理できるようになっています。
アナフィラキシーショックの予防方法
検査をしてアナフィラキシーを起こす原因となるアレルゲンを特定し、アレルゲンから避けた日常生活を送ることが重要です。
◇アレルゲンを特定するための検査方法
検査名 | 内容 |
---|---|
血液検査(IgE抗体) | アレルギーの原因である「IgE抗体」があるかどうかを調べる |
血液検査(ヒスタミン遊離試験) | 血液とアレルゲンを反応させる |
皮膚プリックテスト(スクラッチテスト) | 微量のアレルゲン試薬を皮膚から入れる |
食物除去試験 | 疑わしい食品を2-4週間完全に除去する |
誘発(負荷)試験 | アレルゲンと思われる物質を直接投与して、反応を調べる |
検査の精度について、誘発(負荷)試験は食物のアレルゲン特定にもっとも精度が高い検査になります。
しかし量を間違えると体に負担がかかるため、慎重に検査を行います。
血液検査はIgE抗体を調べることでアレルギーを発症するものを調べることができますが、抗体価の高さと症状の強さは一致しない場合があります。
アレルゲンが判明したら家族や身近な人にアレルギーがあることを伝え、アレルギーに対しての理解を求めることが大切です。
万が一アナフィラキシーショックが起きた際に速やかに応急処置に入るように説明しておくことも命を守るために大切です。
編集部までご連絡いただけますと幸いです。
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京都府立医科大学卒業後、虎の門病院入職。内科全般を学び、その後がんや慢性疾患を多く扱う消化器内科医に。『健康防衛・健康増進』の重要性を痛感。『患者様の健康増進のために本気で取り組みたい』という強い想いで、愛和クリニック開業。
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