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胸部CT肺ドックの
症状ガイド

肺門部肺がん
肺門部とは気管支から肺に入る中枢側の部分の名称です。肺がんには数種類ありますが、肺門部には扁平上皮癌ができやすいといわれています。肺門部のがんは胸部レントゲン検査では発見しづらく、咳や血痰、胸の痛みといった症状がでてから診断される場合がありますが、低線量CTドックでは気管支分岐部から末梢まで鮮明な画像が得られるので、早期発見が可能となります。
陳旧性病変
肺炎などの炎症後の瘢痕(傷跡)の病変のことです。肺炎の症状がなくてもいつの間にか炎症を起こして、自然治癒された場合にも見られる所見です。精密検査や治療の必要はありません。
陳旧性肺結核
肺結核が治癒して瘢痕(傷跡)を残すことがあります。現状では感染力はないので、精密検査や治療の必要はありません。
小結節・不定形陰影
小結節や不定形陰影とは、CT画像上では白色で円や楕円の形で観察される病変です。ごくまれに早期のがんの可能性があるため、1年に1回は低線量CT検査にて定期的な経過観察をお勧めしています。
腫瘍
通常の肺の組織ではない「できもの」を示します。CT画像上では白色、円や楕円の形で写り込みます。腫瘍には「悪性」と「良性」のものがあり、定期的な経過観察もしくは大きさや形態によっては専門医への紹介が必要になることもあります。
石灰化結節・石灰化陰影
石灰とはカルシウムの成分の塊のことです。肺炎などの疾患が治癒していく過程で、その部分にカルシウムが沈着してしまうことを石灰化とよびます。CT画像上、大部分の石灰化は円形か楕円形の白い陰影としてはっきり塊状に写るため、石灰化結節、石灰化陰影と表現します。問題がないことがほとんどです。
GGO(Ground Glass Opacity)
「すりガラス陰影」のことをいいます。肺の間質という部分に炎症が起こると、CT画像上に淡い、すりガラスのような影が写し出されます。すりガラス陰影の性状により以下のように表現が変わります。

Pure GGO:均一なすりガラス陰影
Part Solid GGO:部分充実結節型・すりガラス陰影
Solid:充実結節型
いずれも、腫瘍性病変・炎症性疾患などが考えられます。定期的な経過観察もしくは大きさや形態によっては専門医への紹介が必要になることもあります。
肺炎
「肺炎」とは、細菌などの病原体が肺に侵入したことで起こる急性の炎症です。CT画像上では、白色の陰影像として写し出されます。発熱・咳・痰などの症状がある場合は、風邪とよく似ていますが、風邪とは全く別物と考えて注意すべき病気です。血液検査や内服治療、CT検査で陰影が改善するまで経過観察することもあります。
間質性肺炎(肺線維症)
肺胞というガス交換をするブドウの房状の組織を取り囲む部分を間質とよびます。通常の肺炎と違い、間質に炎症が起こる病気の総称を「間質性肺炎」といいます。炎症や損傷が進んで、間質の壁が硬くなってしまうと「肺線維症」に至ります。重要度によっては専門医への紹介が必要になることもあります。
ブラ
肺胞というガス交換をする組織がタバコなどの有毒物質の影響などで伸び切った風船のようになることを「ブラ」といいます。CT上では黒く抜けた穴のように写ります。その部分は肺の組織が壊れてしまい、肺の機能であるガス交換ができない状態となります。喫煙者に多く見られます。
肺気腫
「肺気腫」とは肺胞構造が破壊された「ブラ」が多発した状態です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)という疾患に含まれており、症状としては進行すると息切れや咳嗽が続くようになります。原因の多くは喫煙であり、たばこに含まれる成分によって正常な肺組織が破壊されることで発症します。
無気肺
気道の圧迫や閉塞などによって肺の一部または全体に空気がなく、肺がつぶれた状態のことです。 痰や腫瘍などで気管支が閉塞することが原因です。症状がなくても精密検査が必要になることがあります。
心臓の冠動脈石灰化
心臓の筋肉に、酸素や栄養の血液を送るための重要な3本の血管を、冠動脈と呼びます。その冠動脈の内膜と中膜にカルシウムが沈着して石灰化が起こります。原因としては喫煙、糖尿病、慢性腎臓病などが知られていますが、加齢によっても生じます。冠動脈の石灰化は狭心症や心筋梗塞(虚血性心疾患)の原因となるため、心臓超音波検査や負荷心電図検査、場合によっては冠動脈造影CT検査が必要な場合もあります。
心拡大
心臓が大きくなった状態を心拡大と言います。心不全の原因となる虚血性心疾患・弁膜症や心筋症などの心疾患が隠れていることが多く、原因検索のためには心臓超音波検査をお勧めしています。
大動脈解離
大動脈は、内膜・中膜・外膜と3層に分かれています。解離は内膜にできた傷から中膜に血液が流れ込んで裂けてしまい、大動脈の薄い壁の中に血液が流れ込む状態のことを指しています。症状としては胸や背中などに激痛が起こり、胸から下に向かって痛みが移動します。急性期は緊急性がありますが、慢性期には血圧のコントロールが重要となります。解離の度合いにより手術が必要になります。
胸部大動脈瘤
「胸部大動脈瘤」は横隔膜から上半身の大動脈が拡大する病気で、正常径の約1.5倍以上に拡大した状態と定義されています。原因としては動脈硬化性や変性疾患が多く、喫煙者・高血圧・脂質異常症・糖尿病もリスクとなります。膨らみが大きくなるほど破裂の可能性は高くなります。拡大予防としては血圧をコントロールすることが重要です。大きさ・形により、外科的手術が必要となります。
腹部大動脈瘤
「腹部大動脈瘤」は横隔膜から下半身の大動脈が拡大する病気で、正常径の約1.5倍以上に拡大した状態と定義されています。原因としては動脈硬化性や変性疾患が多く、喫煙者・高血圧・脂質異常症・糖尿病もリスクとなります。膨らみが大きくなるほど破裂の可能性は高くなります。拡大予防としては血圧をコントロールすることが重要です。大きさ・形により、外科的手術が必要となります。
胸腹部大動脈瘤
「胸腹部大動脈瘤」胸部から腹部の大動脈に連続して動脈瘤がある状態を言います。膨らみが大きくなるほど破裂の可能性は高くなります。拡大予防としては血圧をコントロールすることが重要です。大きさ・形により、外科的手術が必要となります。
甲状腺腫瘍
甲状腺は首の真ん中よりやや下にあり、気管の前面にまたがった組織で蝶のような形をしています。甲状腺ホルモンを分泌する内分泌臓器の一つです。甲状腺腫瘍には良性と悪性があります。まずは超音波検査で詳しく調べる必要があります。
頸部リンパ節腫大
リンパは体の外から進入したウイルスや細菌を退治してくれる免疫機能や老廃物を運ぶ排泄機能があります。リンパ管の所々にリンパ節があり、炎症を起こすとリンパ節が腫大します。原因として細菌・真菌・結核・ウイルスなどの病原体、癌・悪性リンパ腫などの腫瘍性疾患、膠原病、慢性疲労でも腫大することがあります。超音波検査などで鑑別診断をすることがあります。リンパ節腫大が頸部にある場合、「頸部リンパ節腫大」といいます。
縦隔腫瘍
縦隔は、頚部から横隔膜までの範囲で、食道・気管・心臓・血管などを除外した部分の名称です。その縦隔にある病変を「縦隔腫瘍」といいます。胸腺腫やのう胞など良性腫瘍の場合がほとんどですが、まれに悪性腫瘍の場合もあるので、胸部MRI検査で精密検査が必要になる場合もあります。
縦隔リンパ節腫大
リンパは体の外から進入したウイルスや細菌を退治してくれる免疫機能や老廃物を運ぶ排泄機能があります。リンパ管の所々にリンパ節があり、炎症を起こすとリンパ節が腫大します。原因として細菌・真菌・結核・ウイルスなどの病原体、癌・悪性リンパ腫などの腫瘍性疾患、膠原病、慢性疲労でも腫大することがあります。超音波検査などで鑑別診断をすることがあります。リンパ節腫大が縦隔にある場合、「縦隔リンパ節腫大」といいます。
胸膜中皮腫
肺を包んでいる膜(中皮)から発生した腫瘍です。アスベストの粉塵などの吸引後の慢性期にみわれることがあります。胸水が溜まると呼吸困難や胸部圧迫感・胸痛・咳・発熱・体重減少などの症状がみられる事があります。呼吸器内科にて精査が必要です。
胸膜プラーク
胸膜がまだら状が肥厚する病変を言います。肺の外側の病変のため、治療の必要がない事がほとんどです。
胸膜石灰化
肺の外側にある膜にカルシウムが沈着して石灰化が起こります。原因としては、胸膜炎(肺炎などの細菌感染・結核・腫瘍・膠原病で起ります)の炎症後変化やアスベストによるものがあります。
胸水
呼吸時に肺が摩擦しないように少量の胸水は生理的に存在していますが、病気などで溜まりすぎると、息苦しさや胸痛などの症状がでます。原因には、心不全・肝不全・ネフローゼ(腎臓)・肺がん・肺炎・胸膜炎・肺結核・外傷などがあります。原因疾患の治療が主となります。
乳腺腫瘤
乳腺腫瘤は乳腺症(ホルモンによって起こる乳腺の変化)や乳腺線維腺腫(乳腺にできるしこりで、年齢が進むと小さくなることもある)などの良性腫瘤と悪性腫瘍があり、マンモグラフィーや超音波検査が必要となります。乳腺外科にて精密検査を受けることもあります。
肝腫瘍
肝臓にできた「できもの」のことです。腫瘍には「悪性」と「良性」のものがあります。悪性かどうかの診断は単純CT検査のみではできません。腹部超音波検査、造影CT検査、血液検査・組織検査などの精密検査が必要になる場合があります。
肝嚢胞・肝血管腫
肝臓にできた良性腫瘍の一つで、臓器の中にできた水膨れや血管の塊のことです。積極的な治療は必要としないことがほとんどです。腹部超音波検査での大きさや形などの経過観察が重要です。
膵腫瘍
膵臓にできた「できもの」のことです。腫瘍には「悪性」と「良性」のものがあります。悪性かどうかの診断は単純CT検査のみではできません。腹部超音波検査、造影CT検査、血液検査・組織検査などの精密検査や、MRCP(MR胆管膵管造影検査)が必要になる場合があります。
腎腫瘍
腎臓にできた「できもの」のことです。腫瘍には「悪性」と「良性」のものがあります。悪性かどうかの診断は単純CT検査のみではできません。腹部超音波検査、血液検査・組織検査などの精密検査が必要になる場合があります。
副腎腫瘍
副腎にできた「できもの」のことです。腫瘍には「悪性」と「良性」のものがあります。悪性かどうかの診断は単純CT検査のみではできません。腹部MRI検査や血液検査などの精密検査が必要になることもあります。
脂肪肝
肝臓の細胞に中性脂肪が沈着した状態をいいます。肥満や運動不足・脂質異常症・過度の飲酒や偏った食生活が原因となります。放置すると肝機能障害や肝硬変などの発症の原因となります。
慢性肝炎
肝臓の炎症が最低6か月以上持続する病気です。原因としては、B型肝炎・C型肝炎が大部分をしめます。放置すると肝硬変や肝がんなどの重い病気に進展することもあるので、早期発見・早期治療が重要です。治療は原因により異なります。
膵嚢胞
膵臓にできた良性腫瘍の一つで、臓器の中にできた水膨れのことです。積極的な治療は必要としないことがほとんどです。大きさや形などの経過観察が重要ですが、MRCP(MR胆管膵管造影検査)が必要になる場合があります。
腎嚢胞
腎臓にできた良性腫瘍の一つで、臓器の中にできた水膨れのことです。積極的な治療は必要としないことがほとんどです。腹部超音波検査での大きさや形などの経過観察が重要です。
胆管結石
胆管とは肝臓から十二指腸まで胆汁(消化液の一種)が通る管のことです。その管の中にできた結晶のことを胆管結石といいます。結晶のもとはカルシウムやビリルビンが主体です。消化器内科で精密検査を受けなくてはならない場合もあります。
胆嚢結石
胆嚢の中にできた結晶のことを胆嚢結石といいます。結晶のもとはコレステロール結石が半数以上を占めます。症状がなければ経過観察で良いと思われます。
胆管拡張
胆管の太さは正常成人で8mm以下ですが、胆道のどこかで閉塞があると胆管が拡張します。拡張の原因として結石・胆管がん・膵臓がん・胆嚢の機能異常などがあり、病気のサインとなります。MRCP(MR胆管膵管造影検査)が必要になる場合があります。精密検査で原因を調べることが大切です。
腎結石
腎臓の中にできた結晶のことを腎結石といいます。水腎症が合併している場合には精密検査が必要になる場合があります。重症の場合には泌尿器科で治療を受ける場合があります。